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豊田礼人の基本的な考え方を
書いているメルマガです

2005/06/24

第10号 とりこにする方法

今回から登録された方がたくさんいらっしゃいます。
はじめまして!そして、本当にありがとうございます!

どうしたら自分らしい自分になれるか、自分にしかできない
「約束」とは何か。自分の会社の「旗」は何色か。
そんなことについて、これからいっしょに考えていきたいと思います。
以前から読んで頂いている皆さんは、これからもよろしくお願いします!

感想などがありましたら、巻末のアドレスまでお気軽にメールして
ください!では、本日のテーマを始めましょう。

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■本日のテーマ:とりこにする方法
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少し昔の話ですが、「ジョン・グリシャム」という作家の
小説に凝りました。

もともと弁護士であるこのアメリカ人は、「法律事務所」
「ペリカン文書」「依頼人」など、出す本出す本次々とベス
トセラーに送り込み、ことごと映画化されました。ご存知の
方も多いと思います。

長編小説を得意とするグリシャムの本は、大体において上・下巻に
分けられて販売されていました。

上・下巻を一度に購入するには、心理的抵抗があるので(重いし)、
買う側としては、とりあえず上巻だけを買って読んでみて、面
白かったら下巻を買おうという行動をとります。(トライ)

しかし、読み出したら最後、3日後に必ず下巻も買ってきて、
寝る間も惜しんで一気に読んでしまいます。私の場合100%
そうなりました。(とりこ)

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■ブランドのココロ:キャプティブ価格戦略とは?
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先週の日経新聞に、キャノンが800億円で大分に工場を
新設する、という記事が載りました。
この工場は、プリンターのインクやカートリッジを生産する
工場になるそうです。

キャノンの04年12月期の営業利益(連結)は5400億円。
驚くことにその6割が、このカートリッジなどの消耗品が占めている
そうです。

キャノン製品は価格のわりに性能も良く、コストパフォーマン
スが高いと評判です。プリンターやコピー機を売ったあとは、
この消耗品で恒常的に売上げを囲い込む戦略が成功しているの
ですね。

他の消耗品メーカーも参入してきますが、キャノンの純正品を
使用しない場合の故障は保証されないため、純正品は割高の
価格(企業側は適正価格と呼ぶ)で、順調に売れ続けます。

このように、メインとなる製品にある程度買いやすい価格を設定し、
それを購入させることで一種の「捕虜」を確保し、付随して
消費される商品の価格を「相対的に高く」設定して利益を稼ぐ方針を
キャプティブ価格戦略といいます。

キャプティブ(captive)は「捕虜」「とりこ」という意味です。

ラスベガスのホテルの宿泊料金は部屋の豪華さに比べてかなり
安く設定されているそうです。これはホテル代での利益は低く
ても、カジノで利益を稼げばよいと考えているからです。

そういえば、去年沖縄にいった時、旅行代金はパックで安かった
のですが、ホテルのレストランがとても高かったのを思い出しま
した。

T字の安全カミソリも、本体は非常に安いですが、替え刃は
「え?!」
と思うくらい高いですよね。

私は革ベルトの時計が好きなのですが、夏にはめると汗でベルト
が痛んでしまいます。それをブランド純正のベルトに交換すると
ほんとに涙がでるくらい高いです。だから夏は時計をしていません。

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■自分レベルの視点で:あなたはまず何を売る?
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自分を「商品」あるいは「ブランド」として見たとき、あなたは
まず何を相手に売りますか?

最初から高いものは売れません。

ですから、まず安いものから売りましょう。
できればなるべくタダに近いもの。
だからといって相手にとって不要なものを売っても意味が
ないので、価値があるものがいいですね。

手っ取り早いのが、お客さんにまず「恩」を売ることです。
こう言うと何か下心があってイヤらしい感じがしますが、
そんなに大げさなものではなく、さりげなくでいいのです。

私がよくやるのは、相手のミスで、こちらに責任の無い場合でも、
こちらのミスとして処理してあげることです。

相手がサラリーマンの場合、そのミスで社内での立場が悪くな
ることがあります。それをこちらの出血が少ない範囲でかぶって
あげるのです。

あまり大きなミスはかぶれませんが、小さなミスをかぶることで
恩を少しずつ売っておきます。

そうすると、お客さんはあなたブランドの「捕虜」になり、
あなたからしか買いたくなくなるのです。

先日読んだ資料によると、最近は「有料粗品」というもの
があるそうです。つまり、「わりと高価なもの」を格安で提供
しておき、それをエサに店舗や販売会などにお客さんを呼び寄せ、
本当に売りたい商品を売るという戦略です。
そのエサを「伊勢海老」などの生ものにすると、効果は絶大
だそうです。

「損して得取れ」と昔からよく言いますが、企業も個人も
戦略的にこれを行うことで、将来的に大きな利益を得ること
ができるんですね。

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■今週の一冊
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「メディア買収の野望」上・下巻 ジェフリーアーチャー著

1996年に出版された本です。なぜ、今頃これを紹介するのか?
それは、ホリエモンのフジ買収騒ぎを見て、この本を思い出した
からです(これもちょっと古いですが)。タイトルどおり、主人公
が新聞社や出版社を次々に買収して事業を拡大していく痛快小説です。
小説といっても、主人公のモデルはメディア王のルパード・マードッ
クですので、実話に近いフィクションといえます。文句なしにめちゃ
くちゃおもしろいです。企業買収に興味がある人には特にお勧めです。
上・下巻に分かれていますので、とりあえず上だけ読んで「とりこ感」
を味わってみるのも良いかもしれませんね。
ホリエモンのやりたい事って、これなのかな~と思って振り返って
みました。今読んでも秀逸の一品です。ビジネス書ばかりで疲れた
人にも、また良し。

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■もう一言
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ジーコを見ていると、純粋にサッカーがすきなんだな、ということ
が伝わってきます。選手時代にお金は十分稼いだのだから、代表監督
なんて大変な仕事やらなくていいはず。だけどあの真剣さと、得点した
時の笑顔を見ると、「好き」が伝わってきます。感動的ですらあります。
「好き」にこだわる人は、本当にかっこいいですよね。
よし我々も!

では、また来週!

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