2005/07/22
第14号 ブランドの一貫性
昨日は知り合いの工務店の社長に会って、集客についての戦略を練っ
ていました。
非常に腕のいい大工さんなので、マーケティングさえしっかり戦略化
すれば絶対成功するはず。
コンセプトは「IT武装した大工さん」です。
続きは最後の方で・・・
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■本日のテーマ:ブランドの一貫性
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サッカーのヴィッセル神戸の看板選手、三浦カズ選手がJ2の横浜F
Cに移籍することになりました。
現在38歳の日本代表の元エースは、年齢からくる衰えか、このとこ
ろ出場機会に恵まれていませんでした。
J1昇格と観客動員数の増加を望む横浜FCと現役にこだわるカズ選
手との思惑が一致し、契約が成立したのでしょう。新天地では気持ち
も新たに、もう一花も二花も咲かして欲しいものです。
カズ選手の尊敬すべきところは、サッカーに対する真摯な姿勢を貫い
ていることです。それもコーチ業や監督業には関心を示さず、一貫し
て現役選手にこだわっています。
カズ=現役サッカー選手という図式は、我々の脳裏に強烈に焼きつい
ています。
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■ブランドのココロ:拡張はブランドを薄める
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カズ選手のように、一貫性のあるブランドは強力です。
ボルボは一貫して「安全」を売り物にして、質実剛健な車を作ってい
ます。ボルボにスポーツカーやコンバーチブルは似合いません。
一方ポルシェは、「スポーツカー」メーカーとしての一貫性を保って
います。低重心の独特のデザインは若いセレブリティの憧れです。た
だし、SUVのカイエンは5ドアで車高も高く、「スポーツカー」メ
ーカーとしてのポルシェブランドの一貫性を薄めたと思います。売れ
ているらしいですが、少し残念です。
メルセデスは高級車の代名詞です。成功した人のみが乗ることを許さ
れた車です。また、それに憧れて、仕事を頑張る人も多いでしょう。
しかし、低価格のAクラスという小型車は、メルセデスの高級車ブラ
ンドという価値を薄めています。「メルセデス」という成功の証が欲
しくて来店したリッチな客が、わざわざ安くて小さな車を買うでしょ
うか。小型車が好きな人は、フォルクスワーゲンを選ぶでしょう。
トヨタの一貫性とは何でしょう?「壊れない車」でしょうか。トヨタ
には低価格の小型車から大型の高級車まで何でも揃っています。年功
序列社会に合わせて段階的な買い替えを見込んだラインナップになっ
ているそうです。
しかし、トヨタは「レクサスブランド」を日本で展開する方針を打ち
出しました。高級車しか扱わないという一貫性を持ったブランドを立
ち上げたのです。この明確な戦略により、輸入高級車に流れていた富
裕層を取り込むことに成功するでしょう。
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■自分レベルの視点で
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個人レベルで考えてみましょう。
一貫性が要求されるものとして真っ先に思い浮かぶのが、履歴書です。
何の脈絡もなく仕事や会社を替えた事実が並ぶ履歴書は、説得力を大
いに欠きます。そのような履歴書は、年齢が上がるとともに通用しな
くなります。
結構年配で再就職に困っている人などは、この一貫性に欠けた転職を
繰り返してきたケースが圧倒的に多いです。
その時その時はもっともらしい転職理由があるのですが、一貫性がな
いと、どうしても「逃げてきた」という印象を受けてしまいます。
自分ブランドの方針に従って、一貫性を持って行動してきた人は、た
とえ数え切れない転職歴があっても、「チャレンジしてきた」人として
プラス評価されるのです。
私の友人は、「人生を前向きに生きたい」というコンセプトのもとに
転職を重ね、その熱意から現在の会社の社長に認められ、今ではその
会社の中心人物として大活躍しています。
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■まとめ
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企業も商品も個人も一貫性はとても大事です。
できれば、一言で言い表せるような、単純で絞り込まれたコンセプト
をつくり、それを行動の軸にするべきです。人間は単純明快なコンセ
プトほど覚えてくれるからです。
コンセプトを覚えてもらったら、こっちのものです。あとはそのコン
セプトを守り、一貫性を出すように行動するだけです。
一貫性を伝えることで、信頼が生まれ、あなたやあなたの会社を指名
してくれるはず。
そうすれば、あなたのブランド価値はどんどん上昇するでしょう。
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■今週の一冊 「売れる力学」 佐藤昌弘 著
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マーケティングコンサルタントであり、中小企業診断士でもある著者
が、小さな会社の集客術・売上げ増進術を詳しく解説してくれます。
会社の強みの活かし方からチラシの書き方まで、具体的な方法が惜し
げもなく紹介されています。今日から実行できるマーケティングの
指南書です。神田昌典氏ともお親しいようです。
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■もう一言
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「IT武装した大工さん」といっても、大げさなものではありません。
ホームページを作って、メルマガを発行しようというだけです。
それでも大工さんの世界では新鮮らしく、目を輝かせてやる気になってく
れました。この瞬間が一番好きです。「何かをやってやろう!」と思った
時のワクワク感。これがあれば、生きていけます。
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