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豊田礼人の基本的な考え方を
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2006/07/21

第66号【シルシをスグレに】

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■トクチョウ
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ハッとさせられました。

それは、ある本を読んでいて、
「特長」と「特徴」の違いを改めて指摘された時のことです。

長い方の「特長」は特にすぐれたところ、もう一つの「特徴」は他
と異なって特別に目立つしるしを意味する、とその本にはありまし
た。

スグレの「特長」は購買にあたって選択する動機となりますが、単
なるシルシの「特徴」はそうはなり得ません。

つまり、スグレの「特長」は利益の原因となりますが、シルシの
「特徴」の方は利益を生む働きを期待できないのです。

このことを知らない訳では無かったですが、「トクチョウ」という
言葉を使う時、あまり区別して使っていなかったことに気づき、ハ
ッとしてしまったのです。
(参考:「益源」大和信春 著 P28)

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■シルシからスグレへ
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ブランド(Brand)の語源は「焼印(Burned)」で、もともと放牧
している牛や羊の所有を示すための「シルシ」でした。

しかし、現代ではシルシとしてのブランドだけでは、なかなかお客
様から選んでもらえません。大和氏はお客様に選ばれる能力として
「受選力」という言葉をつかっていますが、スグレの特徴を明確に
して、受選力を高めることが、利益を生むためには何よりも重要な
要素になってきているのです。

昔、「ユニクロ」は「安い」という「特徴」をもつブランドでした。
しかし、製造小売(SPA)というビジネスモデルを構築し、定番商品
を安くかつ迅速に店頭に並べる手法や、社長のカリスマ性、人材育成
方法の特異性、CM戦略の巧みさなどにより「特長」を出し、日本を
代表するカジュアルブランドに成長しました。

「シルシ」を「スグレ」にまで磨きあげ、単なる「標識」でしかなか
ったブランドを、「意味ある」ブランドに昇華させたのです。

この「スグレ」により、高収益を実現する企業として君臨しています。

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■インテルのスグレは薄まったのか
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インテルの業績が下降していると7月20日の日経夕刊に出ています。

インテルといえばスグレたMPUで市場を支配し、高収益を得ていま
したが、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)との競争が激化
し、リストラを余儀なくされるほど追い込まれたそうです。

スグレの「特長」の優位性がだんだん薄れ、単なるシルシへと成り下
がってきているのです。

とはいえ、底力のある有力企業です。このままでは終わらないでしょ
う。インテルの今後の巻き返しに注目です。

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■自分レベルの視点で
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僕は中小企業診断士という資格をもって活動していますが、これも単
なるシルシでしかありません。

確かに合格したときは「俺ってスゴイ」「やっぱ違うな~」なんて悦に
入っていましたが、今振り返ると恥ずかしくて赤面してしまいます。

確かに経営コンサルタントのシルシとしての効力はありますが、残念
ながら、このシルシだけでは利益は生みません。

このシルシを磨いて、スグレにまで成長させないと意味がないのです。

企業内でも同じこと。よく「部長やってました」とか「子会社で
取締役でした」と肩書きで自分を説明しようとするベテラン転職者が
いますが、それはあくまで過去のシルシであり、特長ではありません。

自分の本当にスグレた「特長」を語れるように、普段から意識して
行動することがが必要です。他人と区別できるだけではダメなので
す。選ばれないと利益を得られないのですから。

そのことの重要性を改めて気づかされました。

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■今週の一冊 「益源」 大和信春 著
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本文内でも紹介しました。研究者であり、コンサルタントでもある氏
が「益源」の重要性について解説してくれる本です。益源とは、その
字のとおり、利益を生む源です。これがあれば企業は永続的に存続でき
る。無ければ早晩衰退する。その事実を論理的に説明してくれます。
研究者らしく、実に理詰めでキチンと書かれており、ぐいぐい引き込ま
れます。非常に説得力がありました。薄い本なので、一気に読めます。
興味のある方はこちらから↓
https://www.raymac.jp

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■編集後記
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雨が降り続いています。各地で被害が出ており、非常に心配です。
僕が生まれ、今も両親が住んでいる地域は海抜ゼロメートル地帯で、
小さい時はよく家の前が冠水していました。子供のころはそれを見て
ワクワクしていましたが、なんとも不謹慎だったと反省しています。
行方不明の方が一刻も早く見つかることを祈っています。

(第66号終わり)

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