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豊田礼人の基本的な考え方を
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2006/07/28

第67号【ごちゃまぜは混乱のもと】

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■ごちゃまぜの店
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ツライお店でした。

先日、ある小売店のコンサルティングの打診がありました。その社長
はいろいろと野望があり、アイデアもたくさんもってるユニークな方
でした。

それで、まずは店舗を見てみましょうということで、実際に見にいった
のです。しかし、その売り場には客が全くおらず、活気ゼロの状態です。

あ~、これはマズイな、と思いながら店内を歩き回っていたのですが、
客が僕しかいないので、店員の視線がやけに気になります。
(店員・社長には黙って視察にいきました)

この店の客が来ない理由はいろいろあって一概には言えないのですが、
一つ確実なことは、品揃えがバラバラだということです。もう少し具
体的にいうと、高級路線の商品と低価格路線の商品が同じ売り場にご
ちゃまぜに詰め込まれており、一貫性がまるでないのです。

一貫性がないと、その店の「こだわり」や「いさぎよさ」が伝わらな
いので、お客様にとって魅力的じゃなくなります。せっかく買うなら
「この道に人生賭けている」社長から買いたいと思うのが現代の消費者
です。その意識がこの社長さんには欠けているようでした。

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■マルチブランド戦略
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世の中には、高級品を買いたい客と、低価格品を買いたい客がいます。
また、高級品で揃えたいモノと低価格品でもOKなモノとがあります。
同じ客でも、モノのよって、季節によって、気分によって、買いたい
プライスゾーンが変わってきます。

それらを一つの売り場に押し込めると消費者は混乱し、失望するのです。
ですから、意識的に売り場を分けたり、別の店舗で展開するなどの工夫
が必要になります。

企業が展開するブランドも同じです。どんな客層をねらったブランド
であるかをはっきりさせ、客層ごとに異なるブランドを構築し、一貫
性を打ち出すことが、同一企業内での食い合いを防ぐことができます。

英国風パブ「ハブ」ブランドを展開する企業ハブは、より低価格路線
のブランド「82エールハウス」を積極展開する方針を進めています。
(7月24日付 日経MJより)

この狙いは、主力業態「ハブ」のブランドイメージを守るため、店舗
が増えすぎることを防ぐためだそうです。店舗が増えすぎると、消費
者に飽きられ、ブランドが陳腐化してしまいます。しかし会社として
は売上を伸ばしたいため、新規出店は避けられない。そこで、「ハブ」
業態を補完する「82エールハウス」という低価格業態を開発したの
です。

「ハブ」のブランドイメージを維持しながら、別ブランドで新規出店
することで会社の成長戦略を描くという「マルチブランド戦略」を
着々と進めているのですね。

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■ユニクロも分けている
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ユニクロが今年の秋に低価格ブランドを投入するというニュースを
以前このメルマガでもとりあげました。

ユニクロも次の成長へ向けて、やや飽きられてきた定番商品以外に
デザイン性をより重視した商品を充実させていこうとしています。

そうなるとプライスラインは上位へシフトするので、低価格ブランド
を新たに構築し、補完していこうとする戦略を採用したのです。

ターゲットとする客層ごとにブランドを構築し、混乱や食い合いを
避け、企業体としてトータルの売上を上げていこうとする戦略はいろ
いろなところで見られます。

みなさんも探してみてくださいね。

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■自分レベルの視点で
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さて、今度は我々の番です。

小さな会社の場合、会社としての路線はある程度絞った方が得策であ
ることが多いのは事実です。限りある経営資源を集中投下することに
よって、ブランドを磨き育てることができるからです。

複数のブランドを取り扱う場面では、最低限お客様が混乱しない工夫
は必要です。店舗を分ける、売り場を分ける、担当者を分ける、マニ
ュアルを分ける、宣伝チラシを分ける、などなど。

お客様の購買意思決定はわりと優柔不断ですが、売り場や会社の姿勢
に「優柔不断さ」が見えることを、お客様は非常に嫌います。

この事実をしっかりと意識するかしないかで、売れ方が大きく変わる
のです。

ワガママな客を理解することは大変です。でもあなた自身もモノを買
う時は結構ワガママになったりしませんか?

そのときの心理を、大事に記憶していくことです。

そうして、あなたのマーケティングスキルは上がっていくのです。

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■今週の一冊 「コンサルティング・ハンドブック」
デロイトトーマツコンサルティング 著
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現アビームコンサルティングのデロイトトーマツのコンサルタントが
書いたコンサルティング手法に関するノウハウ本です。基本的にIT
コンサルティングの視点で書かれていますが、その前段階の普遍的な
コンサルティングスキルについても抑えています。IT分野の著者らし
く、情報処理発想的な論理展開が新鮮でした。関与先の指導で行き詰
まった時に本屋で見つけ、一気に読みました。精神安定剤的働きをし
てくれた本で、感謝しています。

興味のある方はこちらから↓
https://www.raymac.jp

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■編集後記
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先日、デパートでラジコンメーカー「京商」のフェアが開催されてい
した。ちらっと覗いたら、客の9割は大人の男でした。大の大人がラ
ジコンレースに興じる姿は少し寒かったですが、そういう自分も結構
のめりこんで、30分くらい釘付けで見てました。子供のころ高価で
買えなかったオモチャが買える幸せを満喫しているオトナコドモたち
がそこにはたくさんいました。ホントの子供たちのうらやましそうな
顔が印象的でした(ザマーミロ?)。さあ、もっと遊びましょ、大人
のみなさん。

(第67号終わり

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