名古屋の経営コンサルタント レイマック

豊田礼人ブログ「シンプルなことの繰り返し」

2025/05/12

あなたは意識高い系か、それとも意識低い系か?

愛知県名古屋市で中小企業の業績アップを親身に支援する経営コンサルティング事務所、レイマック・コンサルティングの豊田礼人(とよたあやと)です。

 

 

持続可能な世の中を実現するためにSDGsの目標を掲げる企業が増えています。

 

 

また、エシカル(倫理的)であることを重視し、人間として正しくあることをビジネスの大前提としたり、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」の3つの視点から経営をとらえ、環境汚染や社会的規範、コーポレートガバナンスの遵守を重視するESG経営と呼ばれる企業統治方法も注目されています。投資家もESG経営を実行する企業を高く評価する傾向へと変わりつつあります。

 

 

環境問題に取り組むいわゆる“意識高い系”企業の代表格はアメリカのアウトドア用品大手のパタゴニアかもしれません。創業者のイヴォン・シェイナードは環境負荷の少ない商品に徹底的にこだわり、業績も良好、伝説的な経営者として尊敬を集めています。2022年、創業家が持つ全株式を目的信託と非営利団体に寄付し、自分の利益よりも、より環境保護に資金が回る体制を整えました。

 

 

 

パタゴニアを筆頭にして環境問題に取り組む企業は世界的に増え、日本でも大企業はもちろん中小企業においても社会貢献を強く意識した経営をすることがスタンダードになりつつあります。

 

 

 

さて、パタゴニアのような「本物」の“意識高い系”企業が増える一方で、あえて逆張りし、“意識低い系”のように自らを演出し、注目を浴びる企業もあります。これは環境問題に無関心というわけではなく、あえて力を抜いた「脱力感」をウリにする企業、と捉えてもらうと良いでしょう。

 

 

 

例えば、世界最小の家電メーカーを自称するサンコーはその一つかもしれません。同社のヒット商品、着るこたつ「こたんぽ」は、面白くて少しユルくて、なおかつしっかり役に立つユニークな家電で人気を博しています。他にも同社の「弁当箱炊飯器」は一人用の小さな弁当箱型炊飯器で、その斬新さとユルさに皆が面白がり、マスメディアでも広く紹介されました。

 

 

サンコー自身は自らが意識低い系とカテゴライズされるのは不本意かもしれませんが、商品やそのコピーを見たときに思わず「クスッ」と笑ってしまうような、あえて消費者の目線まで降りてきて等身大の姿に共感を得てもらうというスタンスは、今の時代にとても合っています。ガリガリ君の赤城乳業もあえて意識低い系を演出し、消費者から愛されている企業の一つのように見えます。

 

 

サンコーの山光博康社長は、昨今のコロナ禍や物価上昇の局面で購買意欲が下がっている中で「面白さ」で需要を喚起する必要性を説いています。「(消費者の)財布のひもは締めなきゃという心理的ハードルをとっぱらうには、ユニークさ、面白さは欠かせません。笑いは必須です。爆笑ではなく、買った人が心の中でニンマリするような『にんまり家電』ですよ」と日経MJの取材で述べ、笑いの重要性を説いています。

 

 

意識高い系のブランド戦略を取るにせよ、意識低い系のブランド戦略を取るにしろ、環境問題やエシカルな視点は現代の企業においては避けて通れません。社会の公器である企業である以上、社会性から逃れることはできないのです。

 

 

 

サンコーや赤城乳業も、面白さを前面に出してあえて意識低い系のブランドを演出していますが、その裏ではしっかりと社会性を追求しているはずです。違うのはその見せ方であって、現在の市場環境において、意識高い系でブランディングするのか、逆の低い系でブランディングするのか、どちらがそれぞれのターゲットを引き寄せるのに有利かをしっかり考えた上での戦略なのだと思います。

 

 

 

■見上げるブランドか見下げるブランド

ブランド論においては、ブランドの姿勢が議論されることがあります。ブランドの姿勢とは、①顧客がブランドを見上げるか、②ブランドが顧客を見上げるか、ということです。例えばエルメスやメルセデスなどの高級ブランドは「顧客がブランドを見上げる」戦略です。高級ホテルや超一流ブランドなどもそうです。敷居を高くし、顧客はブランドを憧れのまなざしで見ます。一方で生活必需品などは基本的にブランドが顧客を見上げる構図になっています。これらの商品は大量生産され、販売店の棚の中で顧客から選び取られるのを待っています。

 

 

 

この2つの姿勢に加えて、ちょっと面白い友達のような対等な姿勢で顧客とコミュニケーションするブランドもありますね。サンコーや赤城乳業は、まさに友達のように、ちょっとふざけたことを言ってクスっと笑わせることで顧客の心にスッと入り、応援したくなる気持ちを喚起して財布の紐を緩ませる戦略です。

 

 

 

自社のブランドを意識高い系=見上げてもらうブランドとしてブランディングしていくのか、意識低い系=見下げられるもしくは対等なブランドとしてブランディングしていくのか、これを決めないと中途半端な立ち位置になり、発するメッセージが届きません。また、これらはどちらが良いとか悪いとかの問題でなく、それぞれにあったスタイルを選択して実行していくべきことです。

 

 

 

ただ、どちらにしても、そこで働く社員が楽しく取り組めているかが重要です。なぜならば楽しめないことはサスティナブル(持続可能)でないからです。意識高い系のパタゴニアも眉間にしわを寄せて環境問題に取り組んでいるのではありません。

 

 

 

同社には「社員をサーフィンに行かせよう」と言う言葉が あり、午後にいい波が来ていれば、仕事中でもサーフィンに行っていい、というルールがあるそうです。責任をもって仕事するという前提条件を守っていれば、あとは自由に自己管理してやっていいよ、というメッセージがそこにあります。意識高い系だけれども、人生や仕事を楽しむスタンスがあるんですね。

 

 

意識高い系戦略か、それともあえて低い系戦略でいくか、自分の会社ではどちらがしっくりくるのか?お客様との関係性や商品の特性から見て、どうか?いずれにせよ、楽しんで仕事に向き合える環境を整えながらブランディングしていくのが、経営者にとって重要な役割になると思います。

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