2009/08/28
第228号【すごい人に見せかける力4】
先週の金曜日、愛Pの勉強会を開催しました。いつもと同じく熱心
なビジネスマンがたくさん集まりました。僕にとってもとても刺激
的で学びの多い時間を過ごすことができました。
勉強会の様子はこちらからどうぞ↓
https://raymac.jp/archives/691
(連続228週間、無休で発行しています!今週末は選挙です)
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■ 特別編の第4回目です。前号までのあらすじ
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すごい人になるために地道な努力をすることは当然。それプラス、
すごい人に見える包装紙くるまって、成長のスピードを加速させる
ことはできないだろうか?いや、絶対できるはずだ。そもそもブラ
ンド戦略って、そういうものだったはずなんだから。
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■継続している人はすごい人に見える
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人間の最も不得意なことの一つは、継続することです。とにかく僕
たちは飽きっぽい。同じことをやっていると退屈になってくる。マ
ンネリ化してしまうのです。だからこそ、継続している人を見ると
それだけですごいと思ってしまうことがあります。
女優の森光子さんが主演する舞台「放浪記」の上演が2000回を越
えたそうです。初回が1961年ですから、実に48年も続いているの
です(2009年現在)。これだけ続いていると、続いていること自体が
ニュースになり、毎年上演時期にはマスコミが一斉に取り上げます。
もちろん内容が素晴らしいからこそお客さんが集まり、収益が得られ、
「来年もやろう」と主催者は思うわけですが、ニュースを受け取る我
々は「そんなに長い間上演され続けている舞台なんだから、さぞかし
面白いのだろう。一度見てみたいな」と思います。続いていることに
フォーカスして「すごいな」と思ってしまうのです。
また、同じ内容の舞台を2000回もやっていたら、演じている森さん
自身が飽きてしまわないかなと余計な心配をしてしまいますが、そ
の心配をよそに森さんは毎回新鮮な輝きを放ち、見る人を魅了する
のだそうです。
女流作家林芙美子の役は、役者としては遅咲きだった森光子さんが脚
光を浴びるきっかけとも言うべき「はまり役」だったそうですが、こ
の役に賭ける執念みたいなものが48年もの時を経ても色あせずに存
在していることもまた、すごいと思ってしまうのです。
続ける執念が、森光子という女優の株を大きく上げているのです。
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■平凡を継続することで非凡へ
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平凡なことでもそれを継続することで非凡なことになる。
コンサルティング契約をしているある会社の社長は、30代後半の2
代目社長です。1年ほど前に父親である先代から社長を引き継ぎま
した。本人は社長としての意欲は高いものの、社員さんたちからは
社長としてまだ認められていません。古参社員からしてみれば、会
社の仕事については自分の方がよく知っているという思いもあるで
しょうから、先代の息子とはいえ簡単に信頼を寄せられるものでは
ありません。
そこで新社長は、毎朝会社の玄関の前と駐車場を掃除することを日
課にしました。その姿をこれ見よがし社員に見せるつもりはありま
せんから、社員が出社する前の時間帯を利用して行なうようにしま
した。
この報告を受けてから3年近く経ちますが、依然として掃除は続け
ているそうです。その姿を見ていっしょに掃除をやり始める社員は
未だいないようですが、少しずつ社員からの信頼を得られるように
なってきたそうです。掃除をするという平凡で当たり前のことが、
3年間続けることですごいことになる。
これを見てきて、この会社はいつか本当にすごい会社になるはずだ、
と思わずにいられないのです。
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■継続の先に信頼が生まれる
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継続することが苦手な人と得意な人がいます。継続するということ
は、日々の地道な作業に耐えることで、将来大きな果実を得ること
を(意識的か無意識的かは別にして)目的とします。
先の掃除を続ける経営者で言えば、掃除というその会社に関わる人間
として基本的なことを続けることにより、将来社員さんたちから大き
な信頼を得られるのではないかということをどこかで期待します。
これが、継続できない社長の場合、社員からの信頼が得たいのだった
ら、もっと手っ取り早く、飲み会やリクリエーションを開いて新密度
を高め、そこから信頼につなげようとするかもしれません。しかし、
前者と後者ではどちらが真に信頼できる社長であるかは議論するまで
もありません。
継続することで得られる信頼は、成果が現れるまでには気が遠くなる
ほど時間がかかりますが、一度それを築いてしまえばこれほど強固な
ものはありません。継続することの重要さは多くの人が理解していま
す。しかし、実際に自分がやるとなると難しい。だからこそ、これを
乗り越えた人は「すごい」という称号がもらえることになるのです。
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■今日のケーキか明日のスリムな体か
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継続できない人は自分のことを「せっかちだから」と表現します。
せっかちとは急勝(セキカチ)から転じたものだと言われていて、先
を急いで勝ちたがる、心が落ちつかない人たちのことです。今日の努
力や地道な作業をすっ飛ばして、今すぐに実利を得たいとする人のこ
とです。
釣りはせっかちな人ほど上達が早いと言われます。それは、早く結果
が欲しいため色々と工夫して挑むからなのだそうです。これで成果が
出るからこそ「すごい」となるのですが、ビジネスに置換えた場合、
工夫しながら成果を出すことは常に追求していくべきことです。
その前提で、工夫しながらやり続けることがさらに大きな成果を生む
ということを、僕たちはもっと認識すべきなのだと思うのです。
せっかちさの程度を測る指標として時間割引率というものがあります。
時間割引率とは将来の満足を現在の満足よりどれだけ割り引いて考え
るかを表す割合だと、大阪大学の池田新介教授は言っています。
今日の100万円は、1年後の100万円よりもどれくらい価値がある
かを考える際に用いられます。時間割引率10%の人は、1年後の10
0万円は現在の90万円だと考えます。時間割引率5%の人は、1年後
の100万円を現在の95万円だと考えます。
時間割引率10%の人は5%の人よりも現在の100万円を5万円分安
く見るわけです。つまり1年後まで我慢することの価値を5万円分低く
考えてしまうせっかちな人だと言えるわけです。
こういう人は、お金をずーっと貯金しておくよりも、今日そのお金を手
にしたいと思う傾向にあります。貯金しておけば利息がついてお金が増
えるにも関わらず、今目の前にある利益に流されてしまうのです。
この例のほかにも、例えば現在の美食をとるか将来のスマートな体型を
とるかという選択、現在の快楽でたばこを吸うか将来の健康をとるかと
いう選択などがあります。
ダイエットや禁煙がなかなか難しいという事実は、人間はもともとせっ
かちな人が多く、将来の成果よりも今日の快楽を選択する人の方が相対
的に多いのではないかという推測を招きます。
つまり、忍耐力をもって我慢することが苦手な人の方が、割り合いとし
て多いのではないかということです。だからこそ、地道なことに耐えて
継続している人は「すごい」という評価を得ることになるのではないで
しょうか。
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