2005/05/27
第6号 タバコ会社の思惑とは
■タバコと私
タバコをやめて4年になります
当時勤めていた上場企業に辞表を出した日が禁煙スタート日
でしたので、よく覚えています。
大きい船から飛び降りた不安を打ち消すために、何か自分を
律するものが欲しかった、というのが禁煙のきっかけです。
めちゃくちゃ忙しく、厳しいプレッシャーの中で仕事をしている時
には、タバコを吸って気持ちを入れ替える、という儀式は非常
に有効でした。(今でも吸いたい!!)
また、お客さんとタバコを吸いながら打ち合わせをすると、不思議
な親近感・一体感が生まれる、という経験もしました。
ただ、それも今となっては昔の話。最近はタバコを吸える場所も
どんどん制限され、愛煙家の方たちにはツライ世の中になりました。
■タバコブランド
当時、私が吸っていたブランドは「マイルドセブンスーパーライト」でした。
これを選んだ理由は、
・味が自分好みだったこと
・パッケージデザインが良かったこと
・価格が手ごろだったこと
などだったと思います。
で、一旦選んだら、タバコをやめるまで、ブランドをスイッチする
ことはありませんでした。
でも、よく考えると、これらの理由もそれほどはっきりした
ものではなかったように思います。
味なんて、そんなに他のものと変わるとは思えなかったし、
価格にしたって、他のブランドと比べてもせいぜい20~30円
くらいの差だったと思います。
そうなると、ブランド選択の大きな要因は、パッケージデザインも
含めたブランドのイメージだったような気がします。それも「なんとなく」、
という感じの極めてあいまいな選択。
「品質・価格に大差がない → ブランドイメージの良し悪しが勝負!」
という図式になるのでしょうか。
そうなると、企業は、ブランドイメージの確立・浸透のために、
大量の広告・宣伝費を投入することになります。
■F1とタバコ
自動車レースの最高峰F1の世界では、タバコマネーは重要な資金源です。
昨今は欧州を中心にタバコ広告が制限される傾向が強いため、徐々に減って
はきていますが、
・マイルドセブン
・マールボロ
・ウェスト
・ラッキーストライク
などが、大きな存在感を示しながら、各チームをスポンサードしています。
昔は、JPS、キャメル、ロスマンズ、ゴロワースなんかもありましたね。
タバコ各社の思惑は、世界が注目するF1に参加することで、
全世界の「カッコイイもの好き」な男性(おそらく男性に重きを
置いているでしょう)の心の中にブランドを刷り込む、ということ
ではないでしょうか。
タバコを吸うときって、もちろん「一服する」ことが目的ですけど
どこか「カッコつけて」しまうような気がします。(私だけ?)
世の中の喫煙者数は減少傾向なのに、映画の主人公はほとんどが
喫煙者である、という調査結果がありましたが、これも
「タバコを吸うことはカッコイイ」ことと無関係ではないでしょう。
タバコを吸うとき、ブランドはさりげなくカッコイイ方が
間違いなく「キマる」。だから、カッコイイブランドを構築・維持
するために、企業は広告・宣伝を重要視した戦略をとるのだと思います。
(ひいきのチームを応援するために、そのブランドを選ぶケースも
もちろんあると思いますが)
そして、一旦囲んでしまえば、浮気はされにくい。
■リサイクルトナー
品質も価格も大差ない。
そういう商品を扱っている会社は少なくないでしょう
その場合、どうやって差別化するか。
ひとつの答えが、お客に一番近く・早く接近することです。
それにより、物理的に選ばれやすい位置に立つことができます。
タバコ会社のブランド戦略も、大量広告でお客に接近してきます。
知らない間に、脳裏にブランドロゴが貼りついています。
身近なところで、コピー用紙やリサイクルトナーも品質・価格にあまり
差がない商品です。
この商品で成功している会社は、ネットの検索エンジンの上位に
表示される会社です。つまり、もっともお客に接近できた会社です。
お客さんは、基本的にどの業者でもいいと考えているので、ネット
で手軽に検索し(電話帳で調べるより早い!)、上の方に表示され
た業者を選ぶ。その後、キチンとした対応をすれば、浮気はされにくい。
(参考:藤間文夫著 ネットショップ「儲かる仕組み」をこう作れ!)
■金がないなら、汗をかけ?
「競争相手と差別化しなさい」「オンリーワンになりなさい」
と評論家はいいます。でも、そう簡単にできるものではありません。
できれば、すぐにやってますよね?
できないから、もがき苦しんでいるのです。
しかし、お客さんとの接触回数を増やすことはすぐできます。
効率化が重要視される昨今ですが、「あなたの顔」という
唯一無二のブランドを、お客さんに見せることは、やっぱり
効くんです。
マイクロソフトジャパン元社長の成毛氏も
「受注高はお客との接触回数に比例する」
と言っていました。
タバコ会社のような大量広告はお金が無ければできません。
しかし、お客さんにどんどん接近して、お客さんの脳裏に
あなたの顔を貼り付けることはできます。
そうすれば、浮気は絶対されないのです。
-——————————————————————-
■今週の一冊
「裏帳簿のススメ」 岡本吏郎 著
税理士の著者が、中小企業の決算書のあり方を、分かりやすく
解説してくれています。「黒字決算だけど金足りず」が起きないように
「本当の決算書」の作り方を教えてくれます。
前作の「会社にお金が残らない本当の理由」もベストセラーでしたが、
その続編ともいうべき本書も、実務を知りたい社長さんや
にわかコンサルタント(私も含めて)にとっても、非常に勉強に
なる一冊で、オススメです。
———————————————————————-
■今週のキメゼリフ
このコーナーでは、かっこいい経営用語をさりげなく使う
ことで、相手に「む!こいつデキルな!」と思わせる方法に
ついて考えていきます。(アホか?)但し、使いすぎにはく
れぐれも注意してください。嫌われます。
●ES (Employee Satisfaction)
(意 味)従業員満足 ちなみにCSは顧客満足
(キメ方)部下をこきつかう上司に対して、
部下「ESを向上させないと、モチベーションが
あがらず、組織が機能しませんよ!」
上司「その前に目標を達成して、オレを満足させてくれ!(涙)」
メールマガジンmail magazine
最近のメルマガentries
コンサルプランconsulting plan
情報発信information