2005/09/16
第22号 誰でも主役になれる
大前研一さんが、「自分がまったく興味の無い分野の雑誌を買って
読んでみろ。そうすれば新しい発見が必ずあるから」と何かの本で書
いてました。それで、本屋に行って、普段であれば絶対買わない雑誌
を探してみました。しかし、全く興味の無い分野ってなかなか無いん
ですよね。車も旅もスポーツもファッションも投資も経済も、興味の
強さは違えど、興味「ゼロ」ではないですからね。
そんな中で、やっと見つけました。その名も「月刊たる(樽)」!!
お酒の専門誌です。その内容はといいますと・・・
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■本日のテーマ:誰でも主役になれる
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先日、中小企業基盤整備機構が主催する「地域ブランドフォーラム」に
参加してきました。非常に興味深い数々の地域ブランドの中で、特に
面白かったのが、
・徳島県上勝町の「天然葉っぱを商品化」
の事例でした。
四国の中でも最も人口が少なく、高齢化比率46%のこの町が、天然
の葉っぱを「彩(いろどり)」として商品化し、都会の料亭にガンガン
売っているのだそうです。何の変哲もない葉っぱが、都会に住む人たち
にしてみれば、とても貴重であることに目をつけた商売です。
最初のうち住民はこの企画が上手くいくとは誰も思っていなかったそ
うです。仕掛け人であり責任者でもある横石氏は、「もう帰れ」と何度
も住民から怒鳴られたそうです。しかも住民のほとんどは、人生をあ
きらめてしまった無気力な人ばかり。そんなおじいちゃん、おばあちゃ
んを横石さんはどうやってやる気にさせたのでしょうか。
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■ブランドのココロ:自分で考え、行動しろ
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横石さんは、そんな高齢者の無気力軍団を都会のきれいな料亭に連れ
ていったそうです。そこで出される美しい料理に「葉っぱ」が使われ
ている。「こんなきれいな料亭で、こんな風に葉っぱが役に立つなん
て・・」とおばあちゃん達は感動したそうです。
それから、「お金」。自分たちが頑張って葉っぱを収穫して料亭に売れば、
その成果に応じて現金が入ってくる。仕事のない田舎では、これは強烈
です。そういう経緯を経て、今では70歳過ぎのおばあちゃんの月収が
70万円を超えるそうです。こんなばあちゃん、都会でもなかなかいない
ですよね?
この成功の裏には、情報システムの整備や、自治体を巻き込んだ取り組み
があったことは間違いありませんが、何より大きな成功要因は、この事業
の中心である高齢者の方たちが、自分の頭で考え、そして行動できるように
変わったことだそうです。
あきらめムードが支配していた田舎で、「彩(いろどり)」のお客さん
に喜んでもらうには、何をすれば良いのかを自分たちで考え、事業を
改善していったおばあちゃんたち。その前向きなエネルギーがあったか
らこそ、今日のこの大きな成功があったのです。
過疎化が進む一方だったこの上勝町に、今ではIターン・Uターンして
くる若者が増え、後継者問題とは無縁だそうです。葉っぱの注文を受ける
ための携帯電話を駆使する70歳のおばあちゃんが、今日も元気に野山を
走り回っているそうです。
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■自分レベルの視点で
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ブランドを成功させるためには、ブランドを提供する側の人のモチベー
ションが非常に重要です。ブランドの素晴らしさを自らが信じ、それを
お客さんに提供し喜んでもらう。喜んでもらえば、素直に嬉しいし、そ
のブランドに関わることがますます楽しくなる。この好循環が生まれれ
ば、ブランドはどんどん強くなっていきます。
報酬面も重要です。お金だけでは人間は動きませんが、頑張った分を
正当に評価してもらえなければ、不満は募ります。そうなるとブランド
を愛することはできません。
上勝町のおばあちゃんは、隣近所に負けまいと競い合うように葉っぱ
を収穫するのだそうです。収穫数のランキングが出るそうで、それが
おばあちゃんたちのやる気を煽ります。成果主義も上手に活用すれば、
ブランド強化にとても役立つようですね。
自分で考えて行動し、正当な対価を得る。当たり前のようですが、改
めてその重要さを思い知りました。
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■もう一言
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「月刊たる」は、お酒情報満載の雑誌です。新商品情報・肴料理・お酒
とアートの関係など、お酒好きにはたまらない(?)内容になっていま
す。さて、この雑誌で私は何を発見したか?それは、どんなニッチな
分野にも必ずファンはいて、25年も続く雑誌を作ることができるんだ
ということです。お酒の話題のみで25年!通算275号!!
続けることの重要性もまた痛感しました。大前さん、勉強になりました!
あ、それからもう一冊気になる雑誌がありました。
その名も月刊「大阪人」。どなたか読んで感想聞かせてください。
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