2006/01/20
第40号 ハロー効果を利用せよ
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■ハロー効果
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私は、相手の会話を良く聞かず、さえぎるように話しまくる人に出会
うと、「あ、この人はきっと仕事が出来ないんだろうな」と勝手に思い
込む癖があります。
「必ずそうだ」という根拠もないし、現におしゃべりで相手の話を聞
かない人であっても、仕事が出来る方はいっぱいいます。
でも過去の体験によって作られている脳みそは無意識にそういう判断
をくだしてしまようです。
このように、人間の特定の要素や特徴によって全体の評価を誤ってし
まうことを「ハロー効果」と呼びます。
人事考課の際の心理的誤差のひとつで、例えば、「A君は有名大学卒だ
から、仕事ができるはずだ」と安直に評価してしまうエラーです。ハロ
ーは「halo」で「後光」という意味です。
あなたにもこういう癖はありませんか?
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■勝手に良い方向に考える
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人間がもつこの「心理的誤差」や「拡大解釈」を上手く利用すること
で、ブランドイメージの向上に成功している企業があります。
例えばホンダは2足歩行ロボット「ASIMO」をCMやイベントに登場
させることで、「ロボットを作れるホンダの技術はスゴイ!きっと車
もスゴイはず!」という顧客心理をつくることに成功しているし、
F1に参戦している自動車メーカーは、「世界最高峰の自動車レースで
活躍する車を作れるなんてスゴイ!」という評価を得るために、巨額
の資金を投入しているともいえます。
愛知県の豊橋市というところに「樹研工業」というミクロの歯車を作
っている会社があります。ケータイのバイブに不可欠な歯車をつくる
世界のトップメーカーです。
この企業は人間の目では見えないほどの、そしてギネスブックの記録
にも載っている世界最小の歯車を作りました。これについての社長の
コメントがさえています。
「このギアを作るのに、僕たちは2億円を使った。しかし1個も売れて
いない。このギアは、僕たちのブランドだ。これを見たら、樹研工業が
わかる」
売れない歯車のおかげで、「樹研工業の技術はスゴイ!」というイメ
ージを世界中に発信することに成功しているのです。
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■自分レベルの視点で
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私たちもこの「心理的誤差」や「拡大解釈」を上手く利用できるかも
しれませんね。
たとえば、営業マンの問合せに対するレスポンスが早いだけで、
「む!コイツできるな」と思ったことはありませんか?ただ「早く」
回答しただけで「できる」人になっちゃうんです。
商談後にメールでお礼を言ったり、打ち合わせの簡単な議事録を作る
だけで「お客のことを考えてくれる人だな」と思わせることができます。
つまり、自分が追い求める理想像を象徴する言動を見つけ出し、それ
を抽出して磨き高め、顧客に見せることで、顧客はあなたを実際より
も大きく評価してくれる可能性があります。
その期待にこたえようと努力するあなたは、知らないうちに大きく
なり現実が理想に近づきます。
人事考課ではネガティブなイメージの「ハロー効果」ですが、戦略的
に活用すれば、あなたブランドの向上にいろいろと役立つ可能性が
ありそうですね。是非お試しを。
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■今週の一冊 『ブランドデザインが会社を救う!』
ボブ・スリーヴァ 著
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米国人工業デザインディレクターの著者が、日本企業のものづくりブ
ランドについて教えてくれます。細かい科学的な分析ではなく、デザ
イナーらしく柔らかくユニークな視点から書いており、とても理解し
やすい本になっています。本のデザインにもこだわりが見られ、思わ
ず手にとってしまった一冊です。
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■編集後記
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本文に出てきた樹研工業の松浦元男社長の講演を、以前聞きにいった
ことがあります。年のわりにはめちゃくちゃ元気で(失礼!)、話を聞
いているだけでたくさんのパワーをもらった記憶があります。元気な
社長のいる会社は、業績が良い、と解釈するのはハロー効果でしょうか。
いやこれには絶対関連性があると思います。
とにかく、聴衆に「こういう社長のいる会社は、何か知らんけどスゴ
そうだ!」と思わせた松浦社長のブランド戦略、やっぱりスゴイ!と
思います。
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