2014/11/28
第502号【深く知っていることを軸に構想する】
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■どうやって売れば良いのか?
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長い間、建設業界で生きてきた経営者の相談を受けました。
事業の状態が良くなく、売上が下がってきたそうです。
これじゃまずいということで、
何か新しいことはないかと外に目を向けてみた。
するとある商品に出会いました。
なかなか面白そうな商品なので、
製造元にかけあって、販売代理店にしてもらえることになったそうです。
で、この商品をどこに売りに行こうか、と考えました。
食品業界、ホテル業界、幼稚園業界・・・
いろいろな業界・業種への販売を構想し、期待を膨らませます。
しかし問題なのは、
どのようにアプローチすれば良いのかが分からないこと。
マーケティングの方法も分かりません。
それで、豊田さん、相談に乗ってください、
ということになったわけです。
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■知っている分野の具体的なニーズを探れ
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その経営者のお話を聞きながら、
いろんな角度から検討してみました。
しかし本当のところ、
前述の各業界に商品へのニーズがあるのか分からない。
売れるかもしれないし、売れないかもしれない。
はっきりしたことが分からない。
分からないことが多すぎて話が進まないし、
行動することができない。
じゃあ、視点を変えて、
その経営者が今まで生きてきた建設業界ではどうか。
すると、その分野で長く経験しているだけに、
具体的な状況やそこで働く人のニーズが細かく分かる。
アイデアがどんどん湧いてくる。
具体的なニーズが見えてきたので、
それに応えられるようにこの商品を仕様変更してみよう、
ということになりました。
知らない分野のことを憶測で考えるよりも、
知っている分野の具体的なニーズに目を向け、
それを解決できるように商品を合わせていった方が、
はるかに販売可能性が高まります。
一気に焦点が定まりました。
「さっそく、動いてみます」と嬉しそうに言って、
その経営者は帰って行きました。
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■カステラ
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別の日、
和菓子屋さんからはこんな相談を受けました。
お店の売上が落ちてきたので、
お土産用に限定した新しい和菓子を作り、
新しいブランドを付けて、
ネットで販売したい、と。
それにあたって、
どんな言葉やキャッチコピーで表現すれば良いか、
知恵を貸してほしい、と。
ふむふむ。なるほど。
新しいことにチャレンジしようということですね。
その姿勢は素晴らしい。
しかし、新しいことずくめなので、
どの方向に向かって進めればいいのか、軸が定めにくい。
ところで、
今、お店で一番人気の商品は何ですか?
「カステラです」
「どんな人が買っていくんですか?」
「近隣の50代の主婦が多いですね」
「その人たち、なぜ買うんでしょうね?」
「しっとりしていて、モチモチしていて、
甘さもすっきりしているからおいしいって言ってくれています」
「いつから売っているんですか?」
「創業からなので、50年以上ですね」
地元の人たちに長い間愛されているカステラ。
まさにご当地商品。
新しい商品を開発するのもいいですが、
まず、このカステラをお土産商品として、
ネット販売してみたらどうですか。
味の良さは間違いないし、
キャッチコピーはお客様の声の中からいくらでも出て来そうです。
そう伝えると店主は納得顔になり、
「やるべきことが見えた」と言って帰って行きました。
まず、自分がよく知っていることを軸にして、
新しいことを組み立てると、
力強く進んでいくことができます。
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■自分レベルの視点で
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自分レベルではどうでしょうか?
皆さんは、新しいことに取り組んでいるでしょうか。
同じ事を繰り返していると、
知らない間にマンネリ化し、新鮮味が薄れ、
少しずつ下降していきます。
「収穫逓減の法則」というのがあって、
同じことを続けていくと、
新たに生み出される価値が少しずつ減っていく
という法則なのだそうです。
これを打破するためにも、
新しいことに取り組むことは重要です。
その時、意識したいのは、
全く知らないことだらけのことをやるのではなく、
自分が良く知っていることを軸にして、
少しずつ前後左右にずらしながら、
新しさを追求していくことです。
あなたの良く知っている分野はどこか?
そこを軸にして、ちょっとずらして、
新しい何かを生み出せないか?
新しいやり方を構想できないか?
そこにブルーオーシャンがあるはずです。
応援しています。
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