2007/05/25
第110号【考える人、動く人
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■アメリカ人の発想力と日本人の協調性
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中村修二カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の記事を読みました。
中村教授といえば、青色発行ダイオードの発明者で、発明時に勤務し
ていた日亜化学工業を相手に発明対価の支払い請求の裁判を起こし、
一審で200億円の支払い命令を勝ち取ったことでも有名な方です。
その後、結局8億4千万円で和解が成立しましたが、今まで発明者に
対する報奨金をほとんど支払ってこなかった日本企業にとって、非常
にセンセーショナルな出来事として記憶しています。
その中村教授いわく、
「アメリカ人は、アイデア・発想力が強い。だからソフトウェアの世界
で大成功している会社が多い」
「しかしその一方で、アメリカ人は協調性が無く、皆でものをつくる
ことは苦手である。私の研究室でも学生達はちっともまとまらず、プ
ロジェクトが思うように進まない」
「それに対して、日本人はアイデア・発想力は弱いが、協調性があり
ものつくりに向いている」
昔から言われていたことですが、最先端技術の最前線で戦っている教
授の言葉なので重みがあります。
グーグルやユーチューブが旋風を巻き起こしているアメリカと、トヨ
タ自動車の強さが目立つ日本を見ていると、中村教授の指摘がいかに
的を射ているのかが分かります。
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■明確な役割分担
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アメリカ人がアイデアを出し、日本人がそれを具体化し形にしていく、
という役割分担ができれば、スゴイ仕事ができるはず。
成功した企業のストーリーを聞くと、このアメリカ人と日本人の例の
ような明確な役割分担が会社内に存在していたという事実がたびたび
出てきます。
たとえば、本田宗一郎氏が率いた本田技研。本田氏の天才的なヒラメキ
を支える藤沢武雄というパートナーがいたからこそ、ホンダはエクセレ
ント・カンパニーに成長できたのだそうです。
鉄鋼王のカーネギーは、鉄鋼の知識はそれほど持っていなかったそう
です。しかし自分のアイデアを具体化するのに十分優秀で鉄鋼の知識
も十分に備えたブレーンをしっかりと持っていたそうです。
自分に無い能力を補ってくれるパートナーを意識的に確保する能力も、
成功する経営者の重要な能力かもしれません。
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■中小企業での役割分担は、社長がコントロール
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しかし、多くの中小企業では、優秀なブレーンを確保することは困難
です。
だからといって、「考えること」と「行動すること」のどちらかが欠け
ていれば、満足のいく結果は得られません。考えているだけでは、前
に進みませんし、考えずに行動するだけでは、疲れるだけで徒労に終わ
る危険性が高まります。
中小企業の場合、社長が意識的にこの二つの作業をコントロールする
ことが必要です。自分で二役することも求められます。人材がいない
のなら自分がやる以外他の手はありません。
もし自分が「行動派」であれば、「考える時間」をスケジュールに組み
入れ、強制的に考える時間を確保することはとても重要です。また、
考えてばかりで、実践しようとしない「思考派」であれば、パソコンを
閉じて、外に出てみましょう。お客さんの声を聞いてみましょう。従
業員の声を聞いてみましょう。
自ら考え、そして動いて初めて、バランスの取れた経営ができるのです。
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■自分レベルの視点で
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僕たちは考えているようで、実はあまり深く考えていないようです。
僕たちが受けてきた教育は、「暗記型のインプット作業」がメインで、
「考えて自らアウトプットを出す作業」はあまりして来なかったように
思います。
ですから、考えるコツをイマイチつかめていないのかも知れません。
発想する教育を受けてきたアメリカ人とは大きな違いです。
考えを深める方法として、「ブレインダンプ」というものがあるそうで
す。中山マコトさんに聞きました。脳みそをフル回転させ、ダンプカー
のようにダダダ~っとアイデアを生み出す方法です。
これをやって気づくのは、僕たちはいかに普段から脳みその表面しか
使っていないのかということです。何かについて考え始めても、すぐに
別のことに考えが移ってしまい、深い思考ができないのです。
この方法を頑張って続けると、今まで考えもしなかったアイデアが出て
くることがあるそうです。現に僕も実際に体験しました。普段使う言葉
とは一味違った言葉が出てくるのです。とても不思議でした。
最近はスケジュール帳に「ブレインダンプ」の時間を計画的に組み込
み、1週間に何時間かは「強制的に考える時間」を確保しています。
そのぐらいのことをしてやっと、「思考」と「行動」のバランスがとれ
るような気がしています。
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■編集後記
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今日、車検に出していた車を取りにいきました。そこで、ずっとお世
話になっていた営業マンが、いつのまにか「店長」になっていること
を知りました。「おめでとうございます」というとはにかみながら「あ
りがとうございます」とおっしゃいました。自分が好きで付き合って
いる人が出世すると嬉しいものです。「オレの目に狂いは無かった・・」
という満足感にちょっと浸れたりもしますしね。それよりも何よりも、
その人の成功に自分が少しでも関われたことが、嬉しいのです。
だから、僕のことを支持して付き合っている方たちのためにも、もっと
頑張ろうと思います。僕が成功すれば、僕を応援してくれる人たち
もきっと嬉しいはず。逆にその方たちが成功すれば僕も嬉しい。そう
いう関係を築ける仲間をこれからも増やしていきたいと思います。
ということで、また来週もよろしくお願いします。良い週末を。
(第110号終わり)
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