2012/08/03
第381号【値下げしたところで、数量は増えない】
◎今週のメルマガ 【値下げしたところで、数量は増えない】
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■レンタルDVD業界の苦悩
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価格を下げても、それを補う以上の数量増を得るのは簡単ではない。
それほど単純なことでもない。
TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)
は、ゲオとの価格競争で疲弊しているようです。
ゲオは2年前から旧作DVDの50円レンタルを開始。TSUTAYAも
4月中旬から東日本地域では旧作が一律100円になったとか。(日経
MJ2012年7月23日)単価は、3分の1に下落しています。
2011年のDVD貸し出し枚数は、2010年比で約5000枚多い7億
4224万枚だったそうですが、単価引下げ分を補うほどの売上増に
は結びついていません。
価格を下げても、十分な数量増加を達成できていないのです。
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■牛丼業界の苦悩
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牛丼の安売り戦争も、勝者なき消耗戦に終わったと言われています。
吉野家、すき家、松屋の3社は、ここ数年の間牛丼の値下げ競争を
繰り広げてきましたが、結局、3社とも既存店が前年割れするとい
う状況が続いています。
価格を下げて、来店客数を増やし、薄利多売で利益を確保する狙い
だったのですが、目論見どおりには客数は増えていない。
むしろ価格を下げたことにより、客が増えるどころか、離れてしま
ったいう皮肉な結果になっているのです。
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■価格と数量の関係
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小売店や飲食店で顧客アンケート調査を行なうと、必ず「価格が高
い」という意見が出てきます。これを見た店主は、「やはり来店客数
を増やすためには、価格を下げなければならない」と思うわけです。
しかし、本当に価格を引き下げたら、その分の利益を取り戻してあ
まりある売上増を実現できるのでしょうか。
ある調査では、価格を5%引き下げたら、値下げ前と同じ営業利益
を確保するだけでも、売上数量を17.5%伸ばす必要がある、と報告
しています。(『価格優位戦略』マイケル・V・マーン他著)
1000円のランチを1日100人に売っている飲食店の場合で考えると、
950円に値下げしたら、117.5人に来店客が増えるか、ということで
す。これは冷静に考えてみる必要があります。
マイケル・V・マーン氏は、「値下げをして売上数量を増やし利益を
増やすという計算は、基本的には成りたたないと考えるほうがよい」
と述べています。
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■自分レベルの視点で
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自分レベルではどうでしょうか?
低コストで製造販売できる構造になっていないのに、単純に価格を
下げて販売すれば、利益は減ります。
低コストの裏づけなしの低価格販売は、自分たちの首をしめるだけ
の無謀な戦略です。
にもかかわらず、とにかく売れないのは価格が高いからだと思い込
み、ひたすら裏づけなしの値下げ戦略を敢行する企業が後をたちま
せん。
しかし、この戦略で成功するのは難しい。少なくとも、中小企業に
おいては。
それよりも、その商品の価値やサービスレベルを上げることにより、
適正価格で売るにはどうすればよいのかを考えることが重要です。
値下げは、思考を停止状態にさせます。そこには工夫も創造性もな
い。何も考えず、工夫もしない人ほど、「高いから売れないのだ」
と単純な結論を出したがるのです。
しかし、それは創意工夫の努力を放棄した、怠惰な態度と言わざる
を得ません。
安易に値下げせずに売る方法を、必死に考えてみる。
肝に銘じたいと思います。
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■編集後記
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いよいよ8月に入りましたね。これだけ暑いと外出するにも気合が
必要ですね。現に、暑さから外出するのを嫌う人が増えて、宅配の
飲食サービスが売上を伸ばしているそうです。確かに、暑くて、食
事を作るのも嫌だし、外食に行くのも面倒くさい、という主婦が増
えてそうですね^^。
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