2010/02/05
第251号【マーケットは引っ張れない?】
【マーケットは引っ張れない?】~マーケット・プルについて考える~
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■「電子かわら版」という新しい商品
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アップルが「iPad」を発表しました。これは、パソコンと携帯端末
の中間に位置する製品のようで、デスクで仕事をするためのもので
もなく、外出先や移動中に使うものでもないそうです。
いわば、居間でくつろぎながら使う「電子かわら版」なんだとか。
居間でくつろぐ時には本や雑誌、新聞を読みたい。i Padはそ
のニーズに答えるべく、ネット経由で電子書籍などを販売する電子
書店も開設し、雑誌も本も新聞もこれ1台で読めるようになるそう
です。
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■アップルはマーケットを引っ張る
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アップルは、まだ世の中に無い製品を作り出し、消費者を引っ張っ
ていきます。マックやiPodがまさにそうでした。
まだ存在しないものを消費者に提案し、それが受け入れられば、企業
は爆発的な需要を一気に手中にすることができます。
かつて、企業が消費者ニーズを考えずに独断で開発することはプロダ
クト・アウトと言って批判されましたが、アップルの場合は少し違い
ます。
アップルは、一見プロダクトアウト的に開発をしますが、近未来の消費
者のニーズをしっかりつかんだ製品を提示して、結果的に市場を引っ
張っていきます。いわゆる、「マーケット・プル」なんですね。
マーケティングの教科書には、プロダクトアウトで身勝手に開発する
のではなく、市場のニーズを聞き出して開発する「マーケット・イン」
のアプローチが必要だと書いてあります。
しかし、マーケット・インの方法では消費者を「あっ」といわせる製品
は生み出せません。どうしても従来商品の延長線のものしか消費者は
イメージできないからです。
画期的な商品で市場を引っ張っていくには、マーケット・プルの
発想が必要なんだよ!とアップルが教えてくれているように感じます。
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■ 普通のことをしっかりやって、他と異なれ
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しかし、僕たち中小企業がマーケット・プルをやろうとすると、大
怪我をする恐れがあります。
見たことも無い画期的な商品やサービスは、提供する側はワクワク
しますが、消費者が同じようにそれにワクワクするとは限りません。
むしろ、そこに全く市場が無かった・・という悲惨な結果に終わる
可能性が高いのです。
だからこそ中小企業は、「新しいこと」を目指す一方で、「他と異なるこ
と」を探求するスタンスが非常に重要になります。まずは既存事業をし
っかり磨き上げ、他と異なることで差別化し、キャッシュフローを潤沢に
することが先決。「新しいこと」はその後で少しずつ始めた方が良いと
思います。
日航の会長についた京セラの稲盛会長は、
「たとえ技術的にさほど優れていなくても、どこでもやれるような
事業をすぐれた事業にすることが大切である。つまり、誰でもやれる
ような仕事をしていても、あの会社は一味違う、と言われる経営を
すべきだ」
と述べています。まさに、その通りだと思います。
マーケットプルは、足元を固めてからじっくりと、ということです。
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■自分レベルの視点で
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さて、自分レベルではどうでしょう?
新年を易で占ってもらったところ、「新しいことをやれ」と言われ
ました。
昨年も、勉強会の定期開催、印刷会社向けコンサルの開始、など
新しいことをやってきたつもりなので、さらに「新しいこと」と
言われて、少し困ってしまいます。
正直、新しいことというのは、ワクワクする反面、エネルギーもた
くさん使うので、しんどいのですよね。
でも、やはり新しいことに取り組んでいかないと成長は無いので、
あれやこれやと新しいプランを練っています。
新しいことをやると、自分に負荷がかかってエネルギーを消費する
からこそ、そこに成長があるのでしょうね。
でも、あくまで本業はしっかりと。そして「他と違うこと」を意識
して、差別化を図る。そこを押さえた上で、新しいことに少しずつ
挑戦していく。
このバランスが大事なんだと思います。
※マーケティングについてもっと勉強したい方は↓
https://raymac.jp/aip
(第251号終わり)
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