2009/06/05
第216号【プールに飛び込む前に】
6月23日(火)に愛される会社プロジェクト(愛P)の第2回勉強
会を行ないます。今回のテーマは『戦略』です。
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■ミックのセカンドプラン
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ローリング・ストーンズのヴォーカリストであるミック・ジャガー
は、バンドを結成した当初、奨学金をもらって通う大学生だったそ
うです。
ともに結成したキース・リチャーズは大学を中退してバンド一本で
やっていくことを決めていましたが、ミックは将来売れるかどうか
も分からないバンドに全てを賭けるのはリスクが高すぎると思い、
大学は辞めずに「休学」してバンドを続けたそうです。
その後バンドは世界的に成功し、メンバーは皆億万長者になりまし
た。このミックの「休学」についてはあまり話題になることはあり
ませんが、キャリアの選択という視点で見ると、とても理にかなっ
た方法だったと思います。
音楽の道で成功することは、普通に考えれば万に一つの可能性に賭
けるようなもの。そこに全てを捨てて飛び込むことは潔いとはいえ、
リスクが高すぎる。自分達の才能を信じつつも「セカンドプラン」
を用意していたミックは、人生をトータルで俯瞰できる視点を持っ
ていた人だったのでしょう。
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■まず親指で確かめてみる
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クランボルツ著の『その幸運は偶然ではないんです!』にはこんな
事例が紹介されています。
大学でジャーナリズムを専攻したある男性は、新聞社に入社し、数
年後には出世して編集長になった。その仕事に充実感を感じつつも、
あるキャリアカウンセラーとの対話がきっかけで自分の夢は医者に
なることだと思い出した。
その男性は「夢に向かって頑張る」ということに酔いしれてしまい、
新聞社の編集長というキャリアを捨て、大学の医学部に入るための
準備に取り掛かった。
しかし、いざ予備校に通い出すと物理や数学などの理系科目が想像
以上に難しいことに気がついた。努力して食らいつこうとしたが、
予備校の単位をとることさえ困難で、医学部に願書を出すことすら
出来なかった。その男性は自信を失い、今は細々と編集の仕事を続
けている。
退路を断ち、夢に向かって全てを捧げることは一見聞こえがよく、
ドラマの世界では大抵ハッピーエンドに終わることなどから、安易
に踏み出してしまう人がいます。しかしそれは無謀だし無計画。
「プールの深いところに飛び込む前に、まず足の親指を水につけて
みてはどうだろう?それから次のステップを考えても遅くはない」
とクランボルツ氏は提案するのです。
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■退路を断つ前にすべきこと
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不況で既存顧客の売上が下がってくると、新しい事業を始めなくて
は、ジリ貧になって会社が潰れてしまう!とばかりに闇雲に走り出
したくなる衝動に駆られます。
また、NO.1になれる事業をやらなくては、いつまで経っても
儲からない!とばかりにこれまた新規事業に手を出したくなる衝動
に駆られます。
しかし、新規事業は大抵の場合失敗します。といいますか、失敗を
繰り返して時間をかけて取り組んでやっと成功する類のものです。
簡単ではない。一説では、NO.1になる事業を作り上げるには少
なくとも7年はかかると言われています。
将来のために新規事業をおこなうことは重要ですが、あくまで既存
事業でしっかり稼ぎながら、小さくトライ&エラーを繰り返しなが
ら育てていく姿勢が、我々中小企業には特に必要です。
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■自分レベルの視点で
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僕にとってコンサル業というのは、まったくの新規事業でした。た
だ資格を持っているだけのペーパードライバー。
しかし、上述したミックジャガーの教えを守らず、退路を断ってプ
ールに飛び込もうとしました。しかし、寸前のところで神様の仕業
なのか何なのか分からないのですが、所属していた企業の仕事を半
分続けながら、コンサルの仕事も並行して行なうという「半独立」
の体制で仕事をすることに路線変更しました。
コンサルに関してはペーパードライバーの僕でしたが、この体制で
は安定した収入を得ながらコンサルの実務的なスキルを身につけて
いくことができたので、結果的に非常に助かりました。僕はこの起
業の仕方を2STEP起業と呼んで、密かにオススメしているほど
です。
夢を追うことは素晴らしいけれど、現実は想像以上に厳しい。です
から「セカンドプラン」を用意しておき、ファーストプランが失敗
したときにすぐに対処できるようにしておくことはとても大切です。
失敗したのは自分の能力のせいではなく、プランが未熟だったと考え
てすぐに次のプランに乗り換える。この柔軟さが大切なのです。
将来のリスクを予想しながら、目の前で起きている事実を冷静に受
け止めて対処する。
目をつぶって飛び込んじゃう前に、冷静になって少し考えてみては
どうですか?という提案なのです。
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■編集後記
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昨日は愛P会報誌「レイマックプレス」の経営者インタビューに行っ
て来ました。その経営者様は偶然にも僕と同郷で、不思議な親近感を
感じてしまいました。ローカルな話で盛り上がりながら、楽しくイン
タビューすることができました。会員の皆様は是非楽しみにしていて
くださいね。
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第2回愛P勉強会 https://raymac.jp/seminar0906.pdf
(第216号終わり)
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