2017/09/19
嫌われる言い方とは?
■「もの言う株主」の裏側
村上ファンドの村上世彰氏が書いた『生涯投資家』を読みました。
村上氏は、かつて「もの言う株主」として、東京スタイルやニッポン放送などにプロキシーファイト(委任状争奪合戦)をしかけ、世の中を賑わしました。「敵対的M&A」というものを始めて目にした日本人も多かったのではないでしょうか。
「日本企業にはコーポレートガバナンスの意識が低い!」という主張のもと、企業の正しいあり方を示そうというのが村上氏の信念。
しかしその信念を貫く過程で、ライブドア絡みでインサイダー取引の疑いに問われ、有罪判決を受けてしまいます。
その顛末が本人の口から語られるこの本は、当時の舞台裏が良く分かり、とても面白い。
また、コーポレートガバナンスとはどういうことか、についても様々な教訓が詰まっており、考えさせられる部分もあります。
■正しいことを言っているのに、嫌われる
村上氏は、正しいことを言っています。
上場企業は株主の利益のために、余剰資金を未来に向けて適切に投資するか、しないなら株主に分配せよ。
経営者が会社を私物化していることは許されない。株主の方を向いていないときはそれを正すために行動を起こすのだ、と。これが村上氏の主張です。
言っていることも正しいし、インサイダー取引は別として、プロキシーファイトも法律で認められているやり方です。
しかし、世の中の人からは「悪者」として扱われてしまっています。
正しいことを言っているのに、嫌われてしまう。ここが難しいところです。
■本人も残念みたい・・・。
それは「言い方」が悪いのか。
それとも「やり方」が悪いのか。
はたまた、「結局はお金儲けのためでしょ?」というイメージのせいか。
正しいことを主張しても、受け入れられないのはなぜか。
村上氏の本を読んでいても、
「俺、、間違ったことを言っていないのになんで悪者扱いされるのかな・・」というニュアンスが伝わってきます。(きっと本人もその辺は残念に思っているんですね。)
村上氏の信念がよく伝わる本で、読んでいるうちに氏の考え方も良く分かります。(意外にも少し、村上さんが好きになりますよ。)
コーポレートガバナンスに興味のある人は是非読んでみて下さい。
■自分レベルの視点で
自分レベルではいかがでしょうか?
正しいこと言っているのに、伝わらなかったり、嫌われてしまったりすることってありますよね。
ニーチェはこう言っています。
「人が意見に反対するときは、だいたいその伝え方が気に食わないときである」
さすが、鋭いですね。
言葉の選び方、表情や声のトーン。
あとは、直接言うか、人づてに言うか、それによって受けとめ方が違ってくる場合もある。
それから、話の組み立て方によっても違いは生まれる。相手が「聴く姿勢」になっているかどうかで、伝わり方が違う。そのために、相手を褒めることも、一つの方法。
『人を動かす』の著者D・カーネギーは、
「理髪師はカミソリをあてる前に、石けんの泡を塗る」
と言っています。つまり、いきなり本題に入るのではなく、相手との関係性が滑らかになるように、まず相手を褒める(これが「泡」ですね)といいですよ、と言っています。
やりすぎるとテクニック先行で気持ち悪いですが、少し意識すると伝わり方が変わってくるかもしれません。
言い方や伝え方を変えると、好意が得られる。これは仕事をする上で重要です。
言いたいことを、正しいからと、言いたいように言って嫌われるか、それとも目的(相手に伝えること)達成のために言い方を少し変えてみるか。あなた次第。
応援しています。
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