2006/12/01
第85号【はひふへほの法則】
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■はひふへほの法則
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「はひふへほの法則」というのをご存知ですか?
これは、新聞・雑誌・TVなどのメディアに記事として取り上げられる
(パブリシティ)ための条件を表した法則なのだそうです。
つまり、
「は」・・はっと驚くこと
「ひ」・・ひ~っと叫ぶほど悲惨なこと
「ふ」・・ふふふと笑いたくなること
「へ」・・へえ~っと感心すること
「ほ」・・ほっと暖かい気持ちになること
ということが、記事・ニュースを受け取る側が求めていることなのだ
そうです。
なるほど、常日頃何気なく見ている新聞やTVニュースもこの切り口
でつくられていることが多いですね。もう一つ付け加えるとしたら、
「ムカッ」とすることの「む」でしょうか。(最近は「む」だらけの
ような気もします)
ブランドを構築するためには、広告よりも、こうしたメディアを利用
したパブリシティの方が有効だということは広く知られています。し
かし、はひふへほの法則を守らず、「これは良い商品です」「画期的な
サービスです」という「ウチの会社スゴイでしょ」的内容では、マス
コミはなかなか取り上げてくれません。
彼らもニュースの受け取り手が興味をもって読んで・見てくれて初め
て商売が成り立つわけです。単なる宣伝目的のみの内容では、なかなか
記事にして取り上げようという動機にはならないのですね。
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■妖怪でまちおこし
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この「はひふへほの法則」は、先日名古屋で開かれた「地域ブランド
フォーラム in 中部」で、元雑誌記者で現在ブランド総合研究所社長
の田中章雄氏が紹介してくれたことです。田中氏は、地域ブランドや
企業ブランドの構築について研究・発信されている方です。
このフォーラムに参加していた地域ブランドの成功事例である鳥取県
境港市は、同市出身である水木しげる氏の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」
をもとに妖怪をテーマにしたまちづくりで大成功をおさめているそう
です。
「妖怪でまちづくりなんてできるのかな?」と思うのですが、水木フ
ァンは全国に根強く存在するらしく、毎年多くの観光客がこの街に訪
れるそうです。
この境港市が鬼太郎でブレイクしたのも、マスコミに記事として取り
上げられたことがきっかけだそうです。
まだこの街が無名だったころ、「鬼太郎プロジェクト」の発起人た
ちが、少ない予算を何とか工面して、商店街に妖怪のブロンズ像を
23体設置したそうです。
しかし、そんな気持ち悪いもの(失礼!)を道端にならべたところで、
観光客が目に見えて増えるはずもありません。そんな時「事件」が起き
たのです。
熱狂的ファンか、あるいはただの酔っ払いの仕業か。とにかく何者か
がその妖怪ブロンズ像を盗むという事件が起きたのです。この事件が
有名新聞の一面を飾ったものですから、全国の潜在的妖怪ファンにこ
の境港市が知れ渡ることになったのです。その結果、来訪者が一気に
10倍になったそうです。「ふふふ」と笑ってしまう事件ですものね。
マスコミは飛びつきます。
今では年間85万人の観光客がこの街に訪れるそうです。すごいですね。
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■オロチ
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富山県の自動車メーカーである光岡自動車のスーパーカー「オロチ」
をご存知でしょうか。
この10月から受注を開始したこのクルマ、そのまるで「大蛇」を彷彿
とさせるその独特のデザインが話題を呼び、1050万円という高額
にも関わらず、すでに55件の受注を受けているそうです。
このクルマ、どこかの大資本ブランドメーカーと違ってほとんど広告
はしてませんが、「は」っと驚くデザイン、「へ」え~っと感心する
企業のチャレンジングな姿勢、そしてかつてのスーパーカーブームの
ときのようにカメラを持った子供たちがショールームに訪れるという
「ほ」っとする光景を生み出した、といった内容がマスコミの格好の
ネタとなり、多くのメディアで紹介されています。
私も光岡自動車という自動車メーカーを良く知りませんでしたが、か
つてのスーパーカー小僧だった自分を思い出し、光岡ブランドがかなり
気になるブランドになりました。
あの恐ろしい顔つきも非常にいいですね。是非乗ってみたいクルマで
す。
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■自分レベルの視点で
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大手企業はブランドを「維持」するために、大量のお金を使い、広告
宣伝を行います。我々がマネできるはずもありません。
しかし、このメルマガでも何度も紹介していますが、広告でブランド
を「維持」することはできても、ブランドを構築することは不可能で
す。知名度が上がるだけで、ブランドにはなれないのです。
ですから、資金力に限界のある中小企業は、広告戦略ではなく、パブ
リシティ戦略を立てるべきなのです。パブリシティを活用できれば、
お金はかからないし、ブランド構築も可能になります。
そのためには、「はひふへほ」をしっかり意識するべきです。
「強い」「優れている」ことだけを追求してもだめなのです。
マスコミが記事にしたくなるような、「感情を揺さぶる経営」
を行うことも大切なのです。
寒い冬、是非「ほっ」と暖かい気持ちにさせてくださいね。
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■編集後記
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いよいよ今年も残り1ヶ月ですね。少し前までは、また年が暮れると
思うと、何ともいえない焦燥感がありましたが、最近はそういうこと
もなくなりました。単に開き直っただけでしょうか(^^;)何とか
悔いのない締めくくりをしたいものですね。ではまた来週会いましょう。
(第85号終わり)
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