2019/05/08
自分の「日常」は誰かの「非日常」
自分にとっての当たり前の日常が、誰かにとってはエキサイティングな「非日常」になる、という話。
バチバチと火花を散らしながら溶接を楽しむ女子が増えているのだとか。(日経MJ 2019年5月8日)
DIYの専門店や「アイアンクラフト」などを行う工房などが溶接のワークショップを主催すると、たくさんの女子が集まり、鉄と鉄をくっつける作業に歓喜するのだそうです。
町工場にとって溶接なんて当たり前で日常的なことでしょうが、それがDIY女子たちにとっては興奮する「非日常」になる。顔を保護するフルフェースのマスクをかぶった姿が「インスタ映え」し、家庭でも使える小型溶接機「スパーキー」が「武骨で男前でカッコイイ」と注目されたりする。
写真はスパーキー販売サイトより
https://www.rakuten.ne.jp/gold/tuzukiya/landing/sparky/
普段、溶接しまくっている町工場の社長にしてみれば、女子が溶接に興味を持つなんて不思議かもしれませんが、これだけ世の中が成熟してしまうと、大抵のことはやりつくしてしまって、よっぽどのことじゃないと驚かないという人も増えてくる。すると、「逆に溶接が新鮮」となる。
ショッピングモールの半額セールにはピクリともしない人が、「溶接しませんか?」という誘いに大きく反応する世の中。
これで思い出したのが、マーク・トウェインの「トムソーヤー冒険」に登場する塀のペンキ塗りのお話。
伯母さんに家のお手伝いとして塀のペンキ塗りを言いつけられたトムは、通りがかる友達にペンキ塗りがどんなに楽しいかを見せつけ、お金をとってペンキ塗りを彼らにやらせることに成功します。友だちたちは、やったことがないその非日常な体験に喜々として群がります。こうしてトムは日陰で寝っ転びながらもお手伝いを完了させ、さらにはお小遣いも手にしてしまう、というお話です。
話は飛びますが、僕は毎月、長野や滋賀など他県のクライアントを訪問しますが、ちょっとした小旅行気分で何回行ってもワクワクしています。
訪問すると、長野の山脈風景を見て毎回「素晴らしいですね~」と言うのですが、そこに住んでいるクライアントさんは「まあそうですねえ」と生返事。これも僕の非日常体験が、そのクライアントさんにとっては見飽きた日常風景ということだから、まあ仕方のないこと。
でも、自分の日常が誰かの非日常で、それに喜んでくれるとしたら、これは嬉しいし、もしかしたら新しいビジネスにつながるかもしれません。
そのクライアントさんも「はあ~そうですかね~」とか言いながらも、いつも少し嬉しそうなんです(笑)。
何もかも出尽くした感のある成熟したコモディティ化社会。新しい事業のヒントは、案外身近にあるような気がします。
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