2005/10/28
第28号 小売の輪
===============================
■本日のテーマ:小売の輪
===============================
女子ゴルフ界のスーパースター宮里藍選手が来年からアメリカツアー
に参戦する可能性が高まっています。まだ参加資格を得たわけではあり
ませんが、彼女の今の勢いと実力からするとその可能性は非常に高いと
思われます。彼女自身もそれを望んでいるようです。
昨今のゴルフブームは藍ちゃんの力による部分が非常に大きいです。
数々の最年少記録を塗り替え、かつゴルフに対する真摯な姿勢が老若
男女問わず幅広い層に支持され、ゴルフに興味のない人たちまで巻き
込んだ大きなムーブメントを作り上げました。
その藍ちゃんが日本ツアーからいなくなるとどうなるでしょう。せっ
かく盛り上がっている女子プロゴルフが、再び人気低迷に陥ってしま
うのでしょうか。それとも藍ちゃんがいなくなった後の空白を埋める
スターが新たに誕生するのでしょうか。
===============================
■ブランドのココロ:
===============================
さきごろ、ファーストリテイリングが「ユニクロ」よりも低価格な衣料
を扱う新業態を計画していることを明らかにしました。
ユニクロと言えば、シンプルな衣料を安価な価格で多くの人に提供す
るというモデルで成長してきたブランドです。
しかし最近は消費者に飽きられた感もあり、業績が思うように伸びず、
社長が再び柳井氏に代わるという事態にも陥りました。(とはいっても
経営数字的には十分優良企業ですが)
今後は、デザイン面を重視したより付加価値の高い差別化商品を拡充し
ていく方向へとシフトしていくと思われます。
つまり今回の発表は、ユニクロの上位シフト後に出来た空白部分を埋め
るために、低価格衣料を扱う新ブランドを投入しようという企業戦略の
発表だったのです。
このように、低価格・低サービスによる「革新的小売業態」が、その成熟と
ともに差別化のために高級化を図るようになり、その結果「次の革新的
小売業態」の参入の余地(空白)を生む、という流れを「小売の輪の理論」
と言います。マグネアという人が唱えた理論です。
トヨタ自動車は、高級日本車市場という空白部分にレクサスという別ブ
ランドを投入し、大衆車市場をカバーするトヨタブランドとは別の戦
略を展開して成功しつつあります。ユニクロとは逆に、既存ブランドより
も高級な空白地帯へ新ブランドを作ったのです。
また、コンビニエンスストアは、今までは便利であるかわりに、価格面
では定価販売を守っていました。むしろ高級おにぎりなど高級化へと
シフトしつつありました。
しかし最近は「99ショップ」などが、「便利で安い」という空白地帯に
進出してきました。売上げを奪われる形になったコンビニ業界では、
さきごろセブンイレブンが低価格商品の投入を始めたことがニュースに
なっています。
低価格路線で行き詰まったマクドナルドは、高級バーガー「マックグラン」
を投入しました。高級化へシフトし、こだわりの客を取り込むことによって
客単価を上げようという戦略です。しかしユニクロと違い、同一ブランド内
で高級バーガーと低価格バーガーが同居したため、結局ブランドコンセプト
が曖昧になってしまい低迷しています。
一方でモスバーガーは、マクドナルドが低価格路線にシフトしたときに
出来た高級(または適正)価格市場の空白地帯にしっかりと根を張り、
成功しています。
===============================
■自分レベルの視点で
===============================
自分レベルではどうでしょう?
自分が上流の仕事へとシフトしていくことにより、部下に今までの仕事
を引き継いでいくケースがあります。いつまでも自分で仕事を抱えてし
まって、下に権限委譲しない組織では人は育ちません。
組織全体の利益や将来のことを考えれば、上司みずから空白地帯
をつくり、そこに部下をはめ込んでいく姿勢は大切です。そうすることで
部下は大きく成長し、いつかあなたを助ける存在になるのです。
反対に、自分の上司の上に大きな空白地帯があったとしたら、そこを
埋めるような提案をするとブレイクスルーする可能性があります。例えば、
全社戦略を加味した経営的視点を持った提案をしてみるとか。
突出した存在の脇には必ず空白地帯ができます。そこを上手くついた
人が成功するのです。
藍ちゃんがいなくなった空白地帯は誰が埋めるのか。さくらか、しのぶ
か、キンクミか。それとも大御所・不動ちゃんか。空白地帯は新たな
スターを生み出すのです。
===============================
■今週の一冊 「日本で一番の情熱会社をつくる」
近藤太香巳 著
===============================
高校中退で起業し、37歳で株式会社ネクシィーズを東証1部に上場
させた情熱社長のサクセスストーリーです。とにかく情熱を持って
仕事に取り組むことが何より大事と力説する著者の思いが詰まった
一冊です。一代で上場会社を作り上げた手腕はすごいのひとこと。
このパワー、見習いたいです。
===============================
■もう一言
===============================
朝晩めっきり寒くなりました。うちのマンションの前にできた4軒の
建て売り住宅が全く売れず、とうとう植え込みの木々が枯れてきました。
新築なのに寂しすぎる・・。住宅会社の営業担当者にも容赦なく秋風
が吹いています。頑張れワカゾー!僕は買ってあげられないけど。
メールマガジンmail magazine
最近のメルマガentries
コンサルプランconsulting plan
情報発信information