2005/11/25
第32号 ブランド価値
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■結婚式での衝撃
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「友人の結婚式を途中で抜け出して外に出たら、冷たい雨が激しく降っ
ていました。
しかし、どうしても急用で帰らなくてはいけなかったので、駅に向か
って走り出したその時、後ろから声を掛けられました。
式場係員の男性が、傘を持ってこちらに走ってきます。『これを
使ってください。駅のどこかに置いておいて頂ければ結構ですから』
と真剣な顔で言うのです。
この思いがけない暖かい行為に、思わず泣きそうになってしまいま
した。」
この話は、私の知人が実際に経験した出来事です。あまりに
感激したので、会う人会う人に実名入りで話しているそうです。
係員さんのちょっとした心遣いが、大きな口コミ効果を発揮している
のです。
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■ANAのサービス
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11月21日付けの日経ビジネスに、「企業トップが選ぶベストエア
ライン調査」が掲載されました。それによると、ANAが北米、欧州、
アジア・オセアニアの各路線で総合トップに選ばれています。
この勝利の要因は、ANAが独自のサービスを色々と充実させたこと
にあるそうです。代表例は、搭乗から降機まで、1人の乗客を同じ客室
乗務員が担当する「パーソナルサービス」です。このサービスで乗務員
とお客さんが顔馴染みになり、リピーターを増やす効果が出ているのだ
とか。
「乗務員が顔と名前を覚えていて、誕生日を祝ってくれた!」という利
用者からの好意的な感想もたくさん寄せられ、人気は上々だそうです。
なんとなく冷たい感じのする乗務員の方が、自分の誕生日を覚えてい
たら、そりゃあ感激しますね。たぶんあらゆる知り合いに自慢(?)
したくなること請け合いです。
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■ブランド価値の重要性
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現代の消費者は商品やサービスそのものだけでなく、ブランド価値を
重視して購買活動を行います。従って、企業はブランド価値を高めなけ
れば、顧客を失うことになります。
ブランド価値は、顧客の「心」に宿るといいます。ですから、顧客の心
に訴えかける取り組みをしなければ、ブランド価値は高まりません。
どうすれば、顧客の心に訴えかけることができるのでしょうか。
顧客の心に訴えるためには、生身の「人」が介在することが重要です。
しかもできるだけ親身な介在が必要です。
顧客は「特別な対応」をしてくれたと感じたとき、心にブランド名を
刻みます。それには、人間の暖かみが不可欠です。
この暖かさが無いと、どんなに洗練された商品やサービスであっても
真に顧客の心をつかむことはできません。
例えば、インターネットやパソコンの世界では、すべてオンライン
(メール)で完結させようとする風潮が非常に強いですね。
ちょっとした問合せも、電話ではなく、メールでしてこいと言います。
その前にHP上のQ&Aをちゃんと読んで来いともいいます。
こういう対応をせざるを得ない事情があるのでしょうが、これではブラ
ンド価値はなかなか高まりません。「人」が出てこないので、とても無機
質で冷たい感じがします。
その一方で、ネット関連企業でも「生身の人間」を積極活用している
企業もあります。
例えば、Yahoo!BBは、インターネットやPC設定上の問合せ
を電話で生身の人間がしっかりと受け付けています。
人間と直接会話できる安心感は、私のような機械オンチにとってとて
もありがたいです。両者を比べると、生身の人間と接触できる企業の
方が断然いいですよね。
このようにブランドを支える人と顧客との接点が気持ちよく保たれて
いるほど、ブランド価値は高まります。
人と人との接点が素晴らしければ、人はそのことを多くの知人に話し
ます。知人からの情報は信頼性が高いので、話を聞いた人の心の中にも
ブランドが宿ることになります。
相手が機械だったり、機械のような対応しかできない人であれば、この
ような2次的な広がりは決して生まれず、ブランド価値も高まること
はないのです。
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■自分レベルの視点で
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自分が今までしてきた買い物の中で、感動するくらい印象に残っている
営業マンや販売員はいますか?
私もマンション、車、保険、パソコンなどいろいろな買い物をしてき
ましたが、感動したことは無いかもしれません。ちょっと残念ですね。
でも逆に考えるとこれはチャンスです。世の中には、それほど客を感
動させているビジネスパーソンはいないということです。
そういう中で、私たちがほんのちょっとお客さんと親密なろうと心がけ、
感動させる対応ができれば、たちまち抜きん出ることができるはずです。
例えばお客さんの誕生日を覚えておいて、「おめでとうございます」と
いうだけでも、ちょっとした感動をあたえられそうですね。
(さっそくやってみよう!)
やれそうでやれていないことを、今日からやってみる。
それだけでステージが1段階上がるかもしれません。
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■編集後記
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結婚式といえば、邸宅風結婚式場を展開するテイク&ギヴニーズが
日経MJの「サービス業総合力ランキング」の第1位になっています。
ヤフーやH.I.Sを抑えての1位ですから、スゴイです。同社で式を
上げるカップルの平均予算が435万円だそうで、全国平均の283
万円を大きく上回っています。自分のこだわりには金を惜しまないと
いう層が確実に存在していることを物語っています。
私は全国平均のさらに半分くらいの地味婚でした(^^;)
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