2006/06/30
第63号 守るべきもの
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■資格スクールの破綻
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資格を取得して仕事をしている関係上、資格スクール業界については
何かと気になります。
最近ショッキングだったのは、CPA(米国公認会計士)資格取得スクー
ルを手がけるANJOインターナショナルが破綻したことです。
同社は「講義の質の高さ」と「資格取得サービスのきめ細かさ」という
強みに、国際的会計基準の日本企業への浸透やビジネスマンの資格
取得ブームという追い風が上手く融合し、短期間に爆発的な急成長を
遂げました。社長の安生氏も若手の優秀な起業家としてマスコミにも
よく登場していました。
しかし、その後は起業時のひたむきさを失った同社長の直感的な経営
手法と、甘い財務管理によって収支バランスを崩しました。05年に
社長が交替したものの立ち直れず、06年6月に弁護士に事後処理を
一任し、他校に受講生の受け入れを要請しなければならない状況にま
で追い込まれました。
「日本のように財務諸表を読めない経営者がぞろぞろといる国は先進国
ではまれではないでしょうか。こんな状態が続けば、おそらく日本は
20年、30年後の世界地図から消えているに違いありません」
と、財務データを読む意義を説いていた安生社長は、自ら財務データを
軽視し、ルーズな計数管理を露呈してしまいました。
会計学校が甘い財務管理で自滅した、という笑えない事態に同社を追
い込んでしまったのです。(日経ベンチャー06年7月号より)
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■餅は餅屋
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「餅は餅屋」という言葉がありますが、このANJOインターナショナル
の例で言えば、餅屋なのに餅のつき方を知らなかった、ということに
なるのでしょうか。
連日マスコミを賑わしている日銀の福井総裁は、金融のプロであるに
もかかわらず、裏で不透明な金融取引をしたことにより、信用を失い
ました。国民には低金利を強いておきながら、自分はしっかり私腹を
肥やしていたとすれば、信用を失って当然です。
政界のトップで国を動かしている人たちに対して、僕たちが今ひとつ
信頼感を持てないことも、同じ構造から来る気がします。お金持ちで
庶民感覚の薄い二世議員の先生たちが、庶民の生活を良くしようなど
と本気で考えているとは到底思えません。
国民の代表である国会議員が国民の実態を知らない。あるいは知ろう
ともしない。餅屋が餅のことを全然知らなかったら、商売なんてでき
ませんからね。
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■自分レベルの視点で
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さて、自分レベルではどうでしょう?
自分が自分の仕事をする上で、絶対に守らなければいけないことって
必ずありますよね。
僕の友人でヨガのインストラクターをやっている人がいますが、体は
めちゃくちゃスリムです。太っているヨガの先生って、説得力無いで
すもんね。その体型を維持する努力はすさまじいの一言です。
仕事が取れないコンサルタントも説得力無いですよね。他人の会社の
経営指導する前に、自分の戦略考えろってことですから。もちろん自
戒をこめて言っています(^^;)
「餅は餅屋で買いたい。しかも、すばらしい餅屋で買いたい」
と現代の消費者は思っています。
僕たちもすばらしいプロフェッショナルにならなければいけません。
そのためにすべき努力を怠ってはいけない、という教訓を今回の事例
は教えてくれました。
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■編集後記
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クライアントには計数管理の重要性を説きながら、自分の事業の計数
管理はヒドイものです。昨日も会計ソフトをいじくっていましたが、
使い方が良くわからず、領収書の束の処理を先送りしてしまいました。
お客さんとの約束は守るのに、自分との約束はすぐに破ってしまう自
分の弱さに呆然とする今日この頃です。
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