2006/08/25
第71号【仕事中にサーフィン?】
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■サーフィンに、行け
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いい波が来たら、今すぐサーフィンに行って来い
英語でいうと、
Let my people go surfing today.
これは、米アウトドア用品のパタゴニア社の創業者が社員に常日頃
伝えていた言葉だそうです。顧客を超える経験と知識を社員に身に
つけさせたいという創業者の思いが込められているそうです。
http://japan.patagonia.com/japan/index.shtml
パタゴニアの顧客にはアウトドアスポーツの経験が豊富な人が多く、
その顧客を満足させるには、生半可な知識では足りません。例えば
単に「サーフィンは楽しいですよ」と勧めるだけでなく、「サーフィン
にはこういう危険もありますよ」と伝える方が説得力が増し、顧客から
の信頼度が高まる効果があるのです。
だから、いい波が来たら、サーフィン行って来い、なんですね。
そして、サーフィンの奥深さを知れ、と。
また、同社は、地球環境保護にも注力しています。ペットボトルから
フリースをつくるなど、LOHASを地でいく会社としても有名です。
現社長のマイケル・クルーク氏は、「我々のミッションは、最高の製品
をつくり、環境に与える悪影響を最小限に抑えること。そして、ビジ
ネスを手段として、環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する
ことである」といっています。
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■数値管理もしっかりやる
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一方で、サーフィンばっかりやっていればいいというわけはありません。
また環境保護のみを追及しているわけでもありません。ビジネスとし
て成立しているかどうかもしっかり管理されています。
パタゴニアの社員に対する業績評価は実に厳しく、年功序列、定期昇給
などの制度はありません。あくまで個人の目標達成度合いによって賃金
や昇格が決まるのです。
サーフィンをできる自由な社風の中にも個人が緊張感をもって仕事を
しているのです。(参考:ブランドのDNA 片平秀貴 他著)
数値管理もしっかりとされているということです。
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■価値目標と数値目標
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企業の目標には、価値目標と数値目標があります。
価値目標とは、「どうありたいか」というゴール像策定型の目標で、ブ
ランド戦略がこれを担います。また数値目標は現状延長型の目標で、
中長期経営計画などによって設定・管理されます。
パタゴニア社の場合、この価値目標と数値目標が上手く機能し、会社
としてよいバランスを保ち、緩やかではありますが、確実な成長を遂
げている事例といえます。
しかし、わが国の中小企業の場合、このどちらの目標も無い場合が少
なくないです。経営者が会社をどうしたいのかについて、はっきりと
したビジョンを持たず、また、「アットホームな会社にしたい」という
曖昧な理由から数値目標も立てていない会社が本当に多いと感じます。
この2つは車の両輪で、どちらか一方だけでも上手く走りません。価
値目標と数値目標を明確にし、現時点とのギャップを認識することに
より、会社は正しい方向に動き出します。
私が以前勤務していた大企業では、数値目標はしっかり管理されてい
ましたが、価値目標については非常に曖昧でした。「この会社、どこへ
向かっているの?」という疑問は退職するその日までついぞ晴れること
はありませんでした。
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■自分レベルの視点で
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お金と愛とどっちが大事?
ということについて議論されて久しいです。
そんなの、両方大事に決まっています。「愛さえあれば」と言いたいと
ころですが、かといってお金がなければ色々な不自由なことがあります。
「年収3000万欲しい」と紙に書いて唱和すると実現する、という
説がありますが、どうなんでしょう?数値目標だけでは、私の前職の
ような疑問がきっと起こると思います。
「○○な自分になって、△△円稼ぐ」という目標の方が、実現する可
能性はぐっと高まるでしょう。○○な状態という価値目標が具体的で
あればあるほど、その目標はイキイキしてきます。具体的な行動イメ
ージが湧きますよね?
と同時に△△円という数値目標もしっかり意識して管理していくこと
が重要です。「好きなことさえやれれば、お金はいらん」というのは、
お金を追求し尽した後に言うべきことのように感じます(自戒をこめて
います)
価値目標と数値目標。
なりたい自分と稼ぎたいお金。
愛もお金もある人生を、是非つかみたいものですね。
All need is love(and money).
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■編集後記
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幼児のシュレッダーによる事故は、子を持つ親として本当に本当に痛
ましくてなりません。ニュースをまともに聞けないほどでした。本人
は、どんなに痛かったことか。こんな事故が二度と起こらないよう
に祈るのみです。と同時に、あのシュレッダーを開発した開発者も
さぞかし残念な思いでしょう。まさか自分が開発した製品であんな
事故が起ころうとは、と。もちろんこういうことも想定すべきだと
いう意見に反対する気は毛頭ありません。ただ、「ものつくり」とい
うのは、本当に大変なことなんだな、と改めて感じました。
(第71号終わり)
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