2011/12/29
偉大な人は、盗む。
先日インタビューした3年待ちのふとん屋さん、丹羽ふとん店
の5代目・丹羽拓也さんから聞いた話。
拓也さんは2年間サラリーマンとして一般企業に勤めた後、ふとん職人として内閣総理大臣賞を受賞した父であり師匠の4代目・正行さんに弟子入りしました。
職人の世界では、「技術は見て盗め」と言われますが、師匠の正行さんは、とても丁寧に細かく教えてくれたそうです。
細かく教えてもらえれば、上達は早い。
教えてもらったことを何度も練習することで腕を磨いた拓也さんは今年、ふとん職人日本一を決める『全国技能グランプリ』で優勝しました。
父・正行さんも過去に優勝しており、前人未到の『親子で優勝』を成し遂げました。
僕は、仕事のやりかたやノウハウを、なるべく言語化・文章化(マニュアル化)して、後進に伝えるということは非常に重要だと思います。
そうした方が、正確に、かつ迅速に技術やノウハウを伝承できるから。
日本の労働生産性は先進7カ国で最下位
という悲しいニュースが2011年12月16日の日経MJに掲載されていますが、僕は日本人の『技術は見て盗め』の弊害ではないかとさえ思います。
知り合いの特許事務所では、『職人的で後輩にノウハウを教えない弁理士業界の文化』に疑問を持っていた所長が、細かいところまで言語化・文章化して、合理的にノウハウを伝承する取り組みをしています。
この取り組みの話を聞いたときは、本当に衝撃を受けました。
暗黙知を形式知にする――。
これは、コンサルという職業柄、ものすごく興味を惹かれるのです。
ただし。
丹羽さんも言っていたのですが、オペレーションに関する部分はマニュアルで教えてもらうことはできるけども、仕事に対する姿勢や考え方は、やはり師匠の一挙手一投足を注視し、盗みとるしかないと言っています。
実は繁盛店である最大の秘密も、その『姿勢』にあるのではないかと僕は思います。その姿勢は、教えて教えられるものではない、感じ取り、盗み取るものなのです。
優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む。(by ピカソ)
日本の大命題は「生産性」を上げること。これは間違いない。
そのために、ノウハウの言語化・文章化・マニュアル化は非常に重要。
かつ、ピカソが言うように、偉大になるために「何か」を盗むことも重要。
2012年、あなたは何を盗むか。
盗んだモン勝ちですよ。
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