名古屋の経営コンサルタント レイマック

豊田礼人ブログ「シンプルなことの繰り返し」

2023/06/13

うまくいかないことが前提だから、いちいち凹まない 車いすテニス・小田凱人選手が全仏オープンで優勝

愛知県名古屋市で中小企業の業績アップを親身に支援する経営コンサルティング事務所、レイマックの豊田です。

 

 

愛知県一宮市出身の車いすテニス・小田凱人(おだときと)選手が、テニスの4大大会の1つ・全仏オープンで優勝しました。17歳での優勝は4大大会で史上最年少での快挙だそうです。

 

 

小田さんは小学生の時に骨肉腫により足が不自由になりました。当時はサッカーを一生懸命にやっていたそうですが、できなくなり、落ち込んだそうです。そんな時、車いすテニスの第一人者である国枝選手のプレーを見て感銘を受け、自身もこの競技に取り組む決意をしたそうです。その後、ひたすら努力を続け、今回のグランドスラムでの優勝を勝ち取ったのです。

 

 

この間、小田選手は腫瘍が2度転移し、それを手術や治療で乗り切ってきたそうです。入院中はとても痛くて、ずっと泣いていたそうです。血液の数値が「死んでいてもおかしくない」と本人が言うくらい、悪い時もあったそうです。今回の快挙は、その病気を乗り越えてつかんだ、本当に大きな大きな達成だったのだと思います。

 

 

優勝後のテレビ取材で、小田選手は「うまくいかないことが前提」と言っていました。だから、失敗してもいちいち落ち込まないし、前に進めるのだ、と。それを繰り返してきた先に、今回の優勝があったのです。

 

 

ある日突然、腫瘍ができた、悪性のガンです、と言われ、足が動かなくなる、と言われた。今まで天真爛漫に「サッカー選手になりたい」と言っていた少年が、もうサッカーはできない、もしかしたら死ぬかもしれない、という病気になってしまう・・・。

 

 

その時、本人はどんな気持ちだったろうか。親御さんたちはどんな気持ちだったろうか。ベッドの中で、不安で眠れない夜をすごしたかもしれない。そのときの恐怖は、いったいどんなに大きなものだったのだろうか。

 

 

 

小田選手の病気は、50万人に1人しか罹らないという難病だそうです。「なぜ、僕が」と何度思ったことだろう?もしかしたら怒りと恐怖で涙したこともあったかもしれません。

 

 

 

その恐怖を乗り越え、車いすテニスに出会い、競技を始めたものの、病気はすぐには思い通りに治らない。2度も転移して、そのたびに、もしかしたら競技への不安と生命の不安にさらされたのかもしれません。現在も定期的な検査が欠かせないといいます。

 

 

 

入院生活中、おそらく、病気に関する良くない知らせを何度も医者から伝えられ、そのたびに、それを受け入れ、リセットし、おなかに力を入れて、前を向いてきたのだと思います。本人も、親御さんも、家族も。

 

 

私たちは普段、「失敗してもいいじゃない、チャレンジしてみなよ。失敗したって、死ぬわけじゃないし」という言葉を軽く使っている。これは、「人間はめったなことでは死なない」という前提に立っています。死を日常とかけ離れた存在として扱っている。

 

 

しかし、小田選手と家族にとって、死は遠い存在ではなかったかもしれません。それでも彼は、前を向いて、気持ちを整え、走ってきたのだと思います。そして、小田選手は、「僕は、病で闘っている子供たちのヒーローのような存在になりたい」と言っています。

 

 

私たちにとっても死は他人事ではありません。平然と生きているように見える人でも、実は病気で死の恐怖を抱えているかもしれません。病気じゃなくても、事故や事件に巻き込まれ、明日、死ぬかもしれません。

 

 

「死ぬわけじゃないし」という言葉は、時に、受け取る側によっては非常に軽々しい配慮を欠いた言葉になる。使い方には細心の注意を払わなければいけません。

 

 

この優勝は、小田選手にとってはもちろん、小田選手の親御さんや家族にとっても大きな勝利に違いありません。また、同じような病気を抱えている人たちやその人を支える親兄弟、そして病気で大切な人を亡くしてしまった人たちにも大きな勇気と感動を与えてくれます。

 

 

優勝会見で、小田選手は流ちょうな英語でスピーチをしていました。世界で戦いたいという彼の志の高さが現れていました。彼は、日本人の誇りだと思います。

 

 

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