2020/06/19
致命的な起業の勘違い
愛知県名古屋市で中小企業の業績アップを親身に支援する経営コンサルティング事務所、レイマックの豊田です。
今回のテーマは【致命的な起業の勘違い】です。
◆奥さんも心配顔
ある伝統工芸の職人さんとその奥様に、経営のアドバイスをする機会がありました。
確かな技術をもとに独立し、ある企業の下請けとして安定的に仕事を受注し、これまで順調に業績を伸ばしてきました。
しかし近年、とりまく環境がガラリと変わってしまい、受注が急減。
新しい顧客を獲得せねばと色々思案するも、何から手を付けていいか分からない。
「まさかこんな事態になるとは・・・」と困り果てて暗い顔でやってきました。奥さんも心配顔です。
◆専門能力だけではダメ
職人さんとはいえ、自ら事業を起こした起業家であり、経営している経営者です。
経営者である以上、事業がうまくいくように、あらゆる可能性を検討し、チャレンジしていかなければなりません。
しかし多くの職人系の起業家さんが、このあたりのことに腹落ちしておらず、「技術があるのだから仕事はおのずとやってくる」と信じ切ってしまっています。
安定的に仕事がある時は良いのですが、ちょっとでも環境が変わり、想定外の事態に陥ると、たちまち行き詰ってしまう脆さがあります。
職人さんに限らず、士業などの「先生業」をやっている人も、同様にこの状況に陥りやすいようです。
◆起業の勘違い
自分の専門能力を生かして起業する場合、大きな「勘違い」を起こすことがあります。
それは、起業コンサルタントのマイケル・E・ガーバーさんの言葉を借りれば、
「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力が十分に備わっている」
と思ってしまう「勘違い」です。
事業の中で専門的な仕事をこなすことと、その能力を生かして事業を経営することは、全く別の問題です。
それにもかかわらず、多くの人たちは「会社を経営する」という面を見落としたまま、起業してしまうのだ、とマイケルさんは指摘しています。
先述の伝統工芸の職人さんも、経営する力が足りない。この機に経営力を養う必要があると感じたので、まずは新たな顧客を獲得するためにできることを全てリストアップし、明日から即実行に移してもらうようにアドバイスしました。
すぐにあきらめるのではなく、困難なことにチャレンジすることこそ起業家であり経営者の仕事です。これをコツコツ積み重ねることで経営力は上がります。
そんなことを伝えると、職人さんの表情に生気が戻り、奥さんの顔も随分と晴れやかになり、少し元気になって、帰っていかれました。
◆自分レベルの視点で
自分レベルではいかがでしょうか?
僕たちは、専門能力を磨くとともに、経営する力も磨いているでしょうか?
「経営する力」といういい方も漠然としていますが、大きな捉え方をすれば、困難なことにぶち当たっても、それに負けずに立ち向かっていく力だと思います。
また、将来訪れるかもしれない困難に備えて、常に次の手を考え準備しておく力です。
専門能力さえあれば大丈夫、と安心してしまうのは危険。
その能力を必要とするお客様の方が変われば、たちまち仕事が無くなってしまう恐れがあります。
お客様のニーズは変わる。それにともなって環境は変わる。ライバルも変わる。
自分だけ大丈夫なんてことはありえません。常に最悪の事態を想定し、経営する力を磨いておかなければなりません。
「Only the Paranoid Survive」(パラノイア〈病的なまでの心配性〉だけが生き残る)と言ったのはインテル創業者のアンドリュー・S・グローブです。
僕も、「心配性」が経営力を磨くきっかけになると思います。
困難に備え、何をしておくか。
実際に困難にぶち当たったとき、どう行動するか。
考えよう。
応援しています。
(無料メルマガ『愛される会社の法則』第692号2018/7/20より)※メルマガの登録はこちらから。(無料)
★売るため7(ウルタメセブン)冊子版(123頁)発売中!
ご購入はこちらから。
※無料のダウンロード版もあります。
ダウンロード版はこちらからどうぞ。
最近のブログentries
コンサルプランconsulting plan
情報発信information