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豊田礼人の基本的な考え方を
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2006/02/03

第42号 絞るか広げるか

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■富士写の苦悩
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富士写真フィルムが今年9月末までに、フィルム・カメラ部門の人員
を5000人削減すると発表しました。デジタル化の波に押されて、
写真フィルムの世界需要は急速に縮小しており、5年前の4割程度に
落ちこんでいることが背景があるようです。

少し前まで、富士写といえば超優良企業だった印象がありますが、時
代の変化スピードにはついていけなかったのでしょうか。

社名に「フィルム」とうたっているぐらいですから、フィルムメーカ
ーとしてブランドを磨いてきた企業です。、しかしフィルムの需要が急
減した今、ブランドのあり方が問われています。

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■吉野家の苦悩
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牛丼の吉野家も苦しんでいます。昨年12月に解禁したばかりの米国産
牛肉の輸入再停止は、まさに「吉牛ショック」というべき、大問題です。

同社が牛丼販売をやめてから約2年間、輸入再開を信じて耐えてきた
社員たち、そして吉野家ファンたちの落胆は相当なものでしょう。

いちはやくメニューの多様化を進め、売上げを伸ばしてきたゼンシ
ョーや松屋への反撃の狼煙が一気に萎んでしまった感すらあります。

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■拡張か収縮か
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この2社はそれぞれ「フィルム」「牛丼」にフィールドを絞って成長
してきた企業です。それは「ブランドは絞るべきである」というブラ
ンド論どおりの戦略だったといえます。

ブランドを拡張すると、長期的にはパワーが減り、イメージが弱まる。
それで失敗したのが、十の車種があるシボレーである、という理論。

では、ブランドは絞るべきなのか。
絞ったことによって得られた強みが、あるきっかけで一気に弱
みに転じてしまう恐さ、そしてもろさがあることもまた、事実。

この「フジフィルム」「吉野家の牛丼」ブランドの苦悩は、私たちに
ブランド戦略の難しさを教えてくれます。

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■ブランドの理念を強固にし、そこは変えない
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「拡張すべきか絞るべきか」

有名な経営書である「ビジョナリーカンパニー」に、私たちのこの疑
問に対するヒントがあります。

本書では、「まず何よりも基本理念をしっかりさせるべきだ。基本理念
は変えてはならない。基本理念が固まれば、基本理念以外の点はどんな
点でも、自由に変えられると考えるべきだ」と述べられています。

これをブランドに言い換えると、
「ブランドの理念をしっかりと固め、それ以外は環境の変化に合わせて
自由に変えるべきだ、いや、変えていかなければならない」、
となるのでしょうか。

ブランドの理念をしっかりと構築し、具体的な商品や細かい部分は環
境に合わせて変化させる。このスタンスが今後の社会では必要です。

富士写も吉野家も過去にはすばらしい実績をあげた企業です。そのブ
ランドの奥に潜んだ理念は強く光り輝くものがあるはずです。

そこをいち早く整理し、新しいブランドを構築していく作業がいま
まさに必要なのではないでしょうか。

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■編集後記
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最近ホームページ、メルマガを読んだ方からの問合せがポツポツきて
います。メルマガ書くのも真剣勝負なので、ご意見がいただけると
本当に嬉しいです。ご感想・ご意見にはできるだけ返信しています。
是非メールください。

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