2006/06/23
第62号 自分のゴール像
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■村上ファンドの功罪
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村上ファンドが世間を賑わせていますが、中央大学会計専門職大学院
教授の鈴木一功氏が中日新聞上で次のように述べていました(6/20)。
2000年~2002年の間で、村上ファンドの投資先22社の平均
株価は、市場全体の平均より高い上昇率を示しました。そのうち12
社は増配しました。これにより、株主は利益を得たと判断できます。
しかし一方で、株を取得した3年後のROA(総資本利益率:投下した
資本に対する利益の割合)は、同業他社より平均して劣ったそうです。
これは一体何を意味するのでしょうか?
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■ストックとフロー
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企業価値には、ストックの価値とフローの価値があります。ストック
の価値とは、過去から今までの間に積み上げてきた価値です。また、
フローの価値とは、今後どれだけ儲かるのかという価値です。
鈴木氏曰く、村上ファンドはストックの価値を奪うことばかりを考え、
経営そのものには目が向かなかったそうです。
口ではコーポレートガバナンスの重要性を説き、株主不在の経営陣
の意思決定方法を痛烈に批判していましたが、結局のところ、村上氏
は短期的に儲けることに注力し、将来にわたって発展していくための
経営についてはあまり興味がなかった、ということになります。
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■数値目標と価値目標
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企業の目標には、数値目標と価値目標という2つの目標があります。
数値目標とは、お金を基準に行動を計画するもので、中期経営計画
などがそれに当たります。これは現状延長型の目標です。現在を基準
にして考えるので、割と無難な目標となります。
価値目標とは、企業の将来のあるべき姿を描き、それに向かって行動す
るもので、ブランド戦略がこれに当たります。これは、ゴール像策定型
の目標であり、「やりがい」とか「おもしろみ」を基準として考えます。
これによると、ブレイクスルーする可能性が高まります。
この二つの目標は車の両輪であって、片方だけでは不十分です。お金
が儲けられるかどうかという短期的な視点も重要だし、将来どんな会
社になっていたいか、という長期的な視点も重要です。
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■自分レベルの視点で
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明日食べるためのお金、生きていくために必要なお金を稼ぐことは非常
に重要です。しかし、それのみで突き進むと、やがて壁にぶつかります。
自分自身のゴール像を思い描いて、行動する。
もちろん儲けることも考えながら、行動する。これが重要なんですね。
村上氏も当初は高い志と、自分がなりたいゴール像があったはず。
それをもう一度思い出して欲しいです。
そして、いつかまた、再チャレンジして欲しいと思います。
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■編集後記
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昨日はセミナーをやってきました。30名くらいの方の前で、小さな
会社のブランド戦略についてお話しました。終了後にアンケートを
書いてもらい、内容を集計してみると、9割以上の方が満足して頂け
たようです。ただ中には厳しいご指摘をしてくださる方もいらっしゃ
って、身が引き締まる思いでした。こういったご意見を参考にして、
さらに精進していきたいと思いました。
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