2017/11/21
なぜ「作らない料理教室」が流行るのか?
愛知県名古屋市で中小企業の業績アップを支援する経営コンサルティング事務所、レイマックの豊田礼人です。
新しいビジネスを考える時、既存のビジネスを構成するある1つの要素を抜き出し、「これを削除したらどうなるか?」と考えると新しい発想につながることがあります。
例えば、「温泉旅館」をテーマにしたとします。温泉旅館を構成する要素としては、「温泉」「宿泊する」「懐石料理」「落ち着きのある和室」「女将」などいろいろとあります。この中から「宿泊する」という要素を抜き出し、これを削除するとどうなるか。
つまり「宿泊できない温泉旅館」ってどんなもの?と考える。すると、温泉旅館のような手厚いおもてなしや美味しい日本料理が食べられる、「日帰り温泉旅館」という新たな業態の発想につながる。宿泊するのは翌日の着替えの準備とかいろいろと面倒だが、日帰りならばさっと行って、さっと帰れます。このコンセプトが支持されて実際に繁盛している「日帰り温泉旅館」があります。
オーナーは「まんじゅうから餡子(あんこ)を抜いてみろ」と言っていました。
カット専門の理容室『QBハウス』は、床屋に当然あった「ひげそり、シャンプー、ブロー」という要素を削除しました。髪を切った後に頭に残る細かい髪は、洗わずに、専用の吸い取り器で吸い取ります。水を使わないので水回りの設備が必要なく、出店費用が抑えられます。カットのみなので客の回転率も高まります。
で、低価格を実現し、「格安カット専門店」という業態で躍進したのはご存知の通りです。
この発想法は「水平思考発想法」と呼ばれ、フィリップ・コトラー教授が著書「マーケティング思考」という本の中で紹介しています。コトラーは「削除」の他にも、抜き出した要素を「代用・逆転・結合・強調・並べ替え」することによって発想することを紹介しています。
さてさて。
先日の日経MJに「作らない料理教室」が人気を集めている、と出ていました。(2017年11月20日号)
料理教室は、自分で実際に料理しながら先生の教えを「実習」するから身につくのだと思っていましたが、「作らない料理教室」は実習がなく、先生が作るのを見て、そして食べるだけ。つまり料理教室の「実習」という要素を削除したわけですね。これがウケている。
「作らない料理教室」に参加する人たちに聞くと、
「実習型は仕切りたがるおばさんと一緒になると面倒くさい」という本音がポロリ。
また、「実習型」では自分が料理するのに忙しくて先生の手さばきをじっくり見れないが、「作らない料理教室」では先生の技術を細かい部分まで念入りに観察できるし、質問も随時できる。
さらに、プロの料理の仕方をじっくり学んだあとは、プロが作ったおいしい料理が食べられる。自分たちで実習すると、美味しくないものが出来上がってしまうのでしょうか?(笑)。プロが作った「正解」を体感できるのが良いのですね。
あなたの仕事の中で当たり前だと思っていた要素を削除するとどうなるか。
水平思考発想法、結構使えますよ。
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