2009/08/14
第226号【すごい人に見せかける力2】
お盆も働いています。さていよいよ来週8月21日(金)に愛P勉
強会の第3回目を名古屋で行います。今回は誰でも分かるカンタン
財務というコンセプトで、お金のことについて考えてみたいと思い
ます。基礎の基礎から説明しますので、既に知識のある方にとって
は退屈かもしれません。今まで聞きたいけど聞けなかったことを解
説します。この機会に是非、財務諸表の見方のコツを覚えてくださ
いね。名古屋地区で興味のある方は是非ご参加ください!
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■特別編の第2回目です。前号までのあらすじ
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特別編でお送りしています。今回はその2です。
すごい人になりたいのはヤマヤマだが、すごい人になるためには、
実績を積む必要がある。でもその実績を積むためには、自分を
すごく見せかけることが、時にとても重要になる。
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■実力格差で、モノは売れる
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世の中すごい人だらけです。
30歳そこそこで会社を上場させる人もいれば、本を何冊も出版しそ
れをことごとくベストセラーに導く人もいます。10代でプロゴルフ
の試合で優勝する人もいれば、メジャーリーグにいって次々と記録
を打ち立ててしまう人もいます。こういう人たちを見ていると、己
の凡人さにため息が出て、「俺も天才に生まれたかったな」なんて
空を見上げてしみじみしてしまうなんて経験、誰しもあるのではな
いでしょうか。
そこでひとつの疑問が浮かびます。
「自分とすごい人とはいったい何が違うというのか?すごい人とい
うのは、もともとすごかったのだろうか?」
確かに生まれつき豊かな才能に恵まれた人もいるでしょう。野球の
イチロー選手やプロゴルファーの石川遼選手などは、本人の努力も
あったとは思いますが、生まれつき高い運動能力があったことは間
違いないでしょう。この人たちは本人は否定するかもしれませんが、
もともとすごかった人たちだといえます。
しかし、もともとは凡人だったのに、努力することで成長し、すご
い人になった人も数多く存在するはずです。天才に生まれて来なか
った以上、いまさら両親を恨んでもしょうがないので、こういった
努力してすごい人になった人たちを目標にして僕たちは頑張ってい
かなくてはなりません。
さて、また質問。
「そもそもすごい人は、なぜ『すごい』と思われるのだろうか?」
まず、すごいと思われる人は、その人が属する分野なり業界で高い
実績を上げています。イチロー選手の野球界での実績はここで紹介
するまでもないほど圧倒的なものです。ビジネスの世界で言えば、
営業マンとしてトップの成績を上げたとか、開発者であれば世界的
な特許技術を開発したとか。つまり、その分野での高い能力を備え
たことにより、他の人よりも抜きん出た成果を出すことのできた人、
ということです。会社の中でもとにかく実績を出す人は「すごい人」
として、社内からも顧客からも外注業者さんからも一目置かれます。
また、本を出版する人のプロフィールを見てみると、たいていどこ
そこの会社で数年間トップセールスだったとか、社長賞を何回も受
賞しただとか、アメリカのビジネススクールのMBAを持っている
とか、そういった輝かしい「栄光」がこれでもかというくらい並ん
でいます。それを読んだ人は、「とにかくトップの成績だったんだ
からすごいんだろうな」「MBA持っているからすごい人なんだろ
う」などと思います。
そして「すごい人が書いた本だから、きっと自分にとってタメにな
ることが書いてあるんだろうな」と拡大解釈し、僕たちはレジに並
ぶのです。実力のある人は、すごい人だし、真にすごい人は必ず実
力を備えているのです。
またまた質問。
「ところでなぜ、僕たちはすごい人になりたいと思うのだろうか?」
すごい人イコール金持ちだから?
これは全ての人がそうだとは言い切れませんが、多くの場合がそう
かもしれません。すごい人なのにお金に困っていて、生活に窮して
いるという人もいるかもしれませんが、そういう人はすごい人のグ
ループの中でも少数派でしょう。本当にすごい人は、とんでもなく
稼いでいることが多い。お金持ちになりたいから、すごい人になり
たいというのは単純明快、資本主義社会では否定することのできな
い真理を含んでいると思います。
「いやいや、確かにお金は重要だけど、それだけが理由じゃない。
それよりも、すごい人になれば、周りから尊敬され、ちやほやされ
るからじゃないの?」
これは確かにあるでしょう。自己重要感という言葉がありますが、
これは自分が重要だと認められたいという、人間が持つ最も強い欲
求の一つだと言われています。すごい人になって、周りの人から認
められたい(つまり、ちやほやされたい)と願う気持ちは、人間の
渇きとも言うべき非常に強い欲求です。コーチングの世界で「まず
は相手の話を聴きなさい」という傾聴のスキルが重要視されますが、
聴いてあげることで相手は「認められた」と感じ、心を開いてくれ
ます。これは相手の自己重要感を満たすことで人間関係を円滑にす
る方法の一つとして紹介されます。無視されたくない、自己重要感
をたっぷりと満たして欲しい。こう思うからこそ、僕たちはすごい
人になってそれを実現したいと思うわけです。
「すごい人になりたい理由は、他にはないですか?」
もう一つあります。それは、特に営業や販売に携わる人がより強く
持つのですが、すごい人になることで「実力格差による販売」が可
能になるから、というものです。
例えば、あなたが自動車を買うときのことを想像してみましょう。
自動車を買うときのコツは、成績の良いセールスマンから買うこと
だといわれます。なぜなら、成績の良いセールスマンは顧客満足度
の高い仕事ができるからこそ成績が良いのであって、そういうセー
ルスマンが自分の担当になれば自分の満足度も高まるだろう、と推
測するからです。
これは納得です。自動車というものは長い期間保有するものだから、
変な人が担当になってしまったら長期間に渡って嫌な思いをするか
もしれませんし、優秀なセールスマンは社内での発言力もあるはず
なので大きく値引してくれるかもしれないと期待するわけです。
さらに僕はこのことに加えて「実力格差」に注目します。客という
立場であったとしても、セールスマンや販売員と接触する時、僕た
ちは無意識のうちに一人のビジネスパーソンとしてそのセールスマ
ンたちを観察します。ビジネスをしっかりやっている人ほどこの傾
向は強いと思います。
その時、あくまで無意識ですが、僕たちは常に自分と相手を比較し
ています。相手が優秀か、そうでないかは、自分と比べて評価する
のです。多くの場合僕たちの頭の中を支配するのは、他人と他人の
比較よりも、自分と他人の比較なのです。なぜなら、人間にとって
最大の関心ごとは「自分」であって、自分よりすごい人かどうかは
とても大きな問題です。他人と他人を比較して噂話をすることは暇
つぶしとしての価値はあるかもしれませんが、自分にとっては実は
大した問題ではありません。
自分とセールスマンを比べて、セールスマンの方が優秀だと認めた
場合、つまり実力格差を感じた場合、僕たちは財布の紐を緩めやす
くなります。「あ、この人すごいな。仕事できるな。」と感じると、
少し悔しい反面、どこかで「許す」感覚が芽生えます。あるいは尊
敬の念が生まれるのでしょうか。この人にお金を払うのであれば、
しょうがないと思えるのです。
反対に、自分より明らかに劣っている人に対しては、「こんな人に
お金を払うのはもったいない」と思ってしまい、購買を思い止まっ
てしまうこともあります。すごい人であることで客との間に「実力
格差」を生じさせ、販売を有利に展開することができるのです。
(次号に続く)
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大変嬉しく思います。厚かましいお願いですみません(豊田)
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■編集後記
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昨日は隣の神社で盆踊り大会のはずだったのですが、突然の雷雨で
中止になってしまいました。今年の夏は本当に雨が多くて、涼しく
て、何ともスッキリしない夏ですね。夏の後半は、ガンガン暑くな
って欲しいと願っています。
(第226号終わり)
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