名古屋の経営コンサルタント レイマック

豊田礼人ブログ「シンプルなことの繰り返し」

2018/09/27

ああ、事業承継問題。

 

日本の中小企業の「事業承継」が社会問題化しています。

 

 

 

経営を引き継ぐ後継者が見つからず、廃業を余儀なくされるケースも増えているそうです。

 

 

 

廃業が増えて企業の数が減ると国力が下がりますし、国民の働き口が減ると失業者が増え、社会が不安定になるというリスクもあります。また企業が減ると税収が減り、政府の借金問題がさらに深刻化する恐れもあるし、企業が持っている技術が伝承されず、日本の産業競争力が低下するという問題もあります。

 

 

 

だから、国をあげて「事業承継問題を何とかしよう!」と叫んでいるわけです。

 

 

 

国や自治体が出している事業承継問題対策を要約すると、

 

1.早めに準備せよ。

2.経営状況・課題を「見える化」せよ。

3.後継者が継ぎたくなるような会社に磨きあげよ。

4.事業承継計画を立てて、計画的に実施せよ。

 

ということです。

 

 

これに、株式の譲渡や資産等の譲渡・相続に絡む資金や税金の話が加わって、より複雑化していくわけです。さらに家族・親族関係の私利私欲に関わる問題が上乗せされると、事態は混迷します。

 

 

 

誰が会社を引き継ぐのかという「承継者」については、まず親族への承継を第一に考え、できなければ従業員への承継、あるいは第3者への会社の売却(M&A)、という選択肢が示されます。

 

 

 

税金のことや、M&Aのことは複雑ですが、これは必要な時に専門家に聞けば済む話です。いずれも法律に則って行われるわけですから、自社のケースを整理したうえで、しかるべき人(あるいは会社・機関)に尋ねれば、適切な解答が得られるはずです。

(但し、承継問題に絡んでひと儲けしようというコンサルタントが多数いるので、そこは注意)

 

 

私もいろいろな会社の事業承継問題に出くわして、その複雑さから様々な考え方や対処の仕方があるということは理解しました。そこから得られた結論は、

 

 

 

「継ぎたくなるくらい魅力的な会社か?」

 

 

 

ということ。

 

 

 

これが事業承継問題のすべてではなかろうか、と。

 

 

 

当たり前ですが、魅力的であれば、息子や娘などの親族、あるいは従業員も継ぎたいと思うだろうし、売却するにしても買いたいと申し出る企業も多いでしょう。一方で魅力的でない会社は、誰も継ぎたくありません。

 

 

 

突き詰めると事業承継問題で悩む企業の問題とは、「後継者がいない」ということではなく「継ぎたいほど魅力的じゃない」という問題なのではないでしょうか。

 

 

 

だから株式の譲渡や資産の承継や税金のことがどれだけクリアになろうとも、魅力的じゃない企業など誰も継ぎたきゃあない、ということです。逆に儲かっていて魅力的な会社は、事業に関わっていない親族が無理やりねじ込んでくる、という醜い問題がでてくることがあります。

 

 

借入金が多すぎるなど財務体質が悪かったり、単純に儲かっていなかったりする企業。また事業内容から、将来的な繁栄が期待できない会社。つまり、承継というリスクを負ってまでやるほど魅力的ではない、ということ。

 

 

 

正直、今まで相談を受けた会社で、「僕が継ぎたいくらいですよ!この会社」と思うほど魅力的な会社は少ない。結局、事業承継問題の根本的な問題はコレ、ですよね。誰が見ても継ぎたくなるほど魅力的な企業、チャレンジしてみたくなる事業、イキイキ働く社員さん、あるいは今よりさらに経済的に豊かになれる報酬・・・。

 

 

 

つまるところ、事業承継問題は、会社の魅力不足問題なのでは?と。

 

 

 

そして考える。

 

 

 

そもそもこのことは、事業承継時だけの問題ではなく、商売をするうえで大前提の話で、経営者が常に意識して取り組んでいかねばならない問題なのではないか、と。

 

 

 

なぜなら、お客様にとって魅力的であらねば商売は下降していくだろうし、人材の募集や、社員の定着・モチベーションにも大きく影響する問題です。

 

 

 

経営者の私利私欲だけで経営してきた会社が、顧客・社員・関係者にとって魅力的であろうはずがない。裏返せば、だからこそ、業績が伸び悩み、財務体質が悪化し、「継ぎたい人がいない」という問題にぶち当たっているのではないでしょうか。

 

 

 

お客様にとってはもちろん、関係者にとって魅力的な会社にするべく、今から努力しなければなりません。そういう会社は、社会においても必要とされ、永続できるのだと感じるのですが、いかがでしょうか。

 

 

 

とはいえ、現実として困っている会社はたくさんあります。少しでも良い形で解決することを祈ります。

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