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豊田礼人の基本的な考え方を
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2006/06/02

第59号 ブランドは心の中に

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■相続問題
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先日、相続についてのセミナーに出席しました。相続問題で悩んで
いる訳ではないのですが、ある人に「今後仕事上で相談を持ちかけ
られるから勉強しておきなさい」と言われたので、軽い気持ちで受
けてみました。(「ある人」って占い師なんですが・・)

その勉強の成果を、不謹慎ではありますが、先日お亡くなりになら
れた岡田真澄さんの例でみなさんにシェアしたいと思います。

岡田真澄さんには現在の奥様、娘さんの他に、前妻との間に3人の
ご子息がいらっしゃいました。そのうち1人は既に亡くなられていま
す。

この場合、岡田さんの残した財産は、現在の奥様に1/2、娘さんに
1/6、2人のご子息に1/6ずつとなるそうです。別れた前妻には相
続分はありません。

しかしこれはあくまで法定相続分の話であって、仮に遺言が残ってい
たとしたら、その遺言に従うことになります。遺言は、それが本人に
よるものであることが間違いなければ、絶対的な効力を有するものに
なります。ですから、もしかしたら前の奥様にも相続させる旨の記述
があり、財産が分与される可能性ももちろんあります。

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■京都の老舗ブランドのお家騒動
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手作りの丈夫なかばんで全国にファンを有する京都の老舗「一澤帆布
工業」の先代社長が亡くなったとき、その息子たちの間で相続問題が
勃発しました。

弁護士が預かっていた遺言書には、20年以上経営に携わってきた三男
の「信三郎」社長と恵美夫人に株式の3分の2を所有させる旨の記載
があったそうです。信三郎氏は実質的に父親の事業を継いでいたわけ
ですから、当然のことといえます。

しかし、その後、当時銀行員だった長男の信太郎氏が、自分と四男・喜
久夫氏に3分の2の株式を持たせるという内容の「第2の遺言書」を
もって登場してきました。日付は第2のほうが新しいのです。

法律上遺言書は新しい方が優先されるため、実質的な後継ぎとして
頑張ってきた信三郎氏は、裁判で負けてしまいました。そして、元銀
行員だった長男が新社長に就任し、信三郎氏を解任してしまったので
す。

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■お客様の心の中へ
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しかし、「一澤帆布」製かばんのファンは「本物」を見抜いていました。
司法が助けないなら、ファンや友人が助ければ良い。こうした思いが
一つにまとまり、「一澤信三郎さんを応援する会」が発足され、新聞
に意見広告を出すなどの活動が巻き起こりました。

会を運営するための費用をまかなうため、カンパを募ったところ、あ
っと言う間に200万円以上が集まったそうです。

また、70人の職人・社員が信三郎氏と行動をともにするために、
一澤帆布を離れました。さらに材料の納入業者も長男信太郎氏の会社
とは取引きしないことを表明しました。

人も作業道具も材料もなくなった一澤帆布はやむなく休業に追い込まれ
ました。

一方、新ブランド「信三郎帆布」を立ち上げた信三郎氏と旧一澤帆布
の社員たちは、人の縁に支えられ、瞬く間に事業を再び軌道に乗せる
ことに成功しました。苦境に立たされたことに奮起し、今まで見せな
かった才能やパワーを社員たちが発揮したことも、事業再生に一役買
いました。

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■自分レベルの視点で
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やはりブランドというのは、目に見えるものだけではなく、お客様の
心の中に生きるものなんですね。この事例を知って、改めてそう感じ
ます。

ナチスに弾圧されたユダヤ人が「財産は奪われても教育は奪えない」
といったそうですが、信三郎氏は「のれんは奪われても、お客様の心
の中のブランドは奪えない」と感じているはずです。

商品のもつ表面的なカッコよさや品質のよさ、あるいはロゴマークの
威光などももちろん重要ですが、信三郎さんの人柄を介してお客様の
心の中に生まれた「信頼」というブランドは、これらを超越している
のかもしれません。

僕たちも信三郎さんの仕事に対する姿勢を学び、お客様の心の中に
生き続けるようなブランドにならなくてはいけません。

もしも何かの事件や事故で体一つになってしまっても、信じてくれる
お客様がいれば、事業は必ず再生するのです。

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■編集後記
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相続でモメるケースとして多いのが、相続人が長男・長女・次女のケ
ースだそうです。理由は、長男は当然自分が多く相続するべきだ、と
根拠もなく主張するのですが、女姉妹は「法律どおり等分」で相続す
ることを要求し、ドロドロになるのだそうです。長男だから多く相続
する、という法律など存在しないんです。僕も姉・妹にはさまれた長
男ですが、なるべくめんどくさいことにならないように、おとなしく
法律に従うつもりでいますが・・・。オヤジの遺言や如何に!?
(というか、相続するような財産もないはずですが)

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